更新日: 2024.01.05 働き方

「退職金がない」のは違法?もしかして私、「ブラック企業」に勤めているのでしょうか…?

「退職金がない」のは違法?もしかして私、「ブラック企業」に勤めているのでしょうか…?
企業を退職する際に支給される退職金は、退職後の生活を支える重要な収入源となる場合も少なくないでしょう。特に、定年退職の際に受け取れる退職金があるかないかで、老後の生活が大きく変わる場合もあります。そもそも、退職金の支払いは企業の義務なのでしょうか。
 
本記事では、退職金の支払いがない企業の割合や、退職金があるかどうかを確認する方法もあわせてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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退職金の支払いは義務なのか?

退職金の支払いについては法律上で義務づけられていないため、支払うかどうかは企業が自由に決めていいことになっています。支払う場合の金額も自由に設定でき、もちろん、支払わなくても違法ではありません。
 
ただし、就業規則や求人広告などに退職金を支払う旨の規定がある場合は、支払わなければなりません。もし、退職金の支払いについて規定があるにもかかわらず支払わなかった場合は、違反になります。
 

退職金の支払いがない企業の割合はどのくらい?

厚生労働省が実施した「就労条件総合調査」によると、令和4年1年間において、退職給付制度がある企業の割合は、表1の通りです。
 
表1

退職給付
退職給付(一時金・年金)制度がある企業
令和5年調査計 74.9%
企業規模1000人以上 90.1%
企業規模300~999人 88.8%
企業規模100~299人 84.7%
企業規模30~99人 70.1%

※厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」を基に筆者作成
 
退職給付制度を導入している割合は、企業規模が大きいほど高く、小さいほど低くなる傾向にあります。
 

退職金の支払いについては就業規則を確認する

今勤めている企業を退職する際に、退職金がもらえるのかどうかを知りたいときは、就業規則に退職金の支払いに関する規定があるかを確認しましょう。
 
労働基準法第89条に「作成及び届出の義務」についての定めがあり「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」という記載があります。
 
その3に「退職に関する事項」があり、3の2に「退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項」を作成する必要があるとされています。
 

退職金の支払いがなくてもブラック企業とはいえない

退職金の支払いは企業の義務なのかとか、支払われないとどうなるのかなどについてと、実際に支払われていない企業はどれくらいの割合で存在するのかを詳しくご紹介しました。
 
退職金の支払いは法律で義務づけられていないため、支払いがなくても「ブラック企業」ということはありません。
 
ただし、就業規則などで退職金の支払いがある旨の規定がある場合は、支払われなければなりません。まずは、自分が勤めている企業の就業規則に、退職金に関する規定があるかどうかを確認してみましょう。
 

出典

厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 4 退職給付(一時金・年金)の支給実態 第21表 退職者のいた企業割合、退職事由別退職者割合(16ページ)
日本労働組合総連合会 労働相談Q&A 10. 一時金・退職金
デジタル庁 e-Gov法令検索 労働基準法 第九章 就業規則(作成及び届出の義務)第八十九条・三・三の二
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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