更新日: 2024.01.01 働き方

上司から残業命令が出たら残業しようと思っていますが、「残業命令」って具体的にどこからですか?

上司から残業命令が出たら残業しようと思っていますが、「残業命令」って具体的にどこからですか?
上司から命令されて残業を行ったことがあるという人は多いのではないでしょうか。じつは、上司には命じる権限が「ある残業」と「ない残業」があります。それでは、どのような場合、上司は「残業命令」ができるのでしょうか。本記事では、残業命令の範囲と残業の定義について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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残業とは?

残業とは、法定労働時間を超えて働くことをいいます。労働基準法によって、法定労働時間は1日8時間・1週間40時間以内と定められています。一方、所定労働時間とは会社が独自に定めた労働時間のことです。
 
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署によれば、従業員に法定労働時間を超えて働いてもらう場合、「労働基準法第36条に基づく労使協定(36(サブロク)協定)の締結」と「所轄労働基準監督署⻑への届出」が必要になります。
 
さらに、⼤企業は2019年4⽉から、中⼩企業は2020年4⽉から、時間外労働の上限が設けられました。これによって、臨時的な特別の事情がない限り、従業員は⽉45時間・年360時間を超えて働くことができなくなりました。違反した場合、会社は6ヶ⽉以下の懲役または30万円以下の罰⾦が科せられます。
 

残業代とは?

残業代を計算するときは、法定労働時間と所定労働時間では異なるという点に注意しましょう。例えば、会社の所定労働時間が10時から18時の場合、休憩が1時間で労働時間が7時間になります。
 
そのため、19時まで働いたとしても、労働時間は8時間です。この場合、法定労働時間を超えていないため、残業代は発生しません。1時間分だけ所定の賃金を支払えばよいことになります。
 
20時まで働いたとき初めて1時間分の残業代が発生します。法定時間を超えた時間外労働の割増率は25%です。このほか、1ヶ月に60時間を超える時間外労働の割増率は50%、22時から翌朝5時の間の深夜労働の割増率は25%、休日労働の割増率は35%になります。
 

残業命令の範囲とは?

上司が残業命令を出すには、以下の条件を満たさなくてはなりません。
 
1つ目が36協定が締結されていて、かつその範囲内であること、2つ目が労働契約や就業規則に残業に関する規定があることです。
 
また、上司は従業員が残業できない理由を伝えてきた場合、正当性がある理由かどうか判断し、正当性がある場合には、残業を命令することはできません。従業員も上記の条件に当てはまる残業を拒否することはできません。
 

残業命令は「36協定の範囲内」「就業規則などに残業に関する規定がある」といった条件を満たす必要あり

上司が残業命令を出すには「36協定の範囲内」「労働契約や就業規則などに残業に関する規定がある」といった条件を満たす必要があります。部下もこれらを満たす残業を断ることはできません。もし拒否すれば業務命令違反になります。しっかりと理解したうえで、残業するようにしましょう。
 

出典

厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
e-Gov法令検索 昭和二十二年法律第四十九号 労働基準法
厚生労働省 36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針
厚生労働省 2023年4月1日から 月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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