更新日: 2023.12.27 家計の見直し
今年の年末年始はやりくりが大変…。この時期の散財とどう付き合う?
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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日本人国内旅行支出は2019年比12.2%増の4万4361円
観光庁が2023年11月に公表した旅行・観光消費動向調査によれば、2023年7~9月期(速報)の日本人国内旅行支出は、コロナ禍を除き過去のピーク時だった2019年の同じ時期よりも12.2%増の4万4361円になっています。宿泊旅行が6万4450円、日帰り旅行は1万8118円(2019年同期比6.9%増)ということです。
国内全般の傾向ですから、地域の差はあっても旅行をすれば相応の出費を覚悟しなければなりません。加えて、昨今の円安でモノの値段も上昇していますので、せっかく旅行先に来たのだからといって財布のひもを緩めてしまえば、かなりの散財になってしまうのは必然です。
我慢・節約はやりすぎると逆効果
全体の傾向がこのように上昇している中では、工夫して予算を抑えようとすると相当なストレスがかかります。例えば、宿泊施設のグレードを落とす、食事やお土産も極力我慢する、などといったことが思いつきますが、楽しい冬休みの中、お財布事情ばかりに気をとられていると、旅行の楽しみがうせてしまう可能性があります。
ストレスがかかると、人はどこかにはけ口を求めるようになりますので、冬休みが終わってから、無意識のうちに無駄な出費をしてしまうことにもつながりかねません。
何事もメリハリが大事です。世の中の流れに無理に逆らわず、12%アップしているという事実を受け入れるということも選択肢です。この報道発表資料は10月〜12月ですから、年末年始はもう少し金額がかさむと考えて臨むのがいいでしょう。
家計運営は生きている限り続く取り組みなので、短期決戦でがんばりすぎると、ストレスによる反動でせっかくの努力が無駄になりがちです。長く付き合うには長く付き合えるような体制でいきましょう。
年末年始の休み後に節約するのは意外と難しくない
年末年始に、予算以上に出費をしてしまったと思った自責の念と、「新しい年を迎えた」というすがすがしい気持ちから、休暇明けは出費を切り詰めることにそこまで抵抗はなくなるということもあるでしょう。
2~3ヶ月かけて日ごろの出費についてプチ節約を目安として取り組むなら、大きな負担感にはならないでしょう。逆に「年末年始に出費がかさみそうだから、今節約しておこう」とすると、休暇中の「ごほうび出費」として予想外に使い込んでしまうケースもあります。
そうはいっても、際限なく散財するのではなく、あくまで自分たちがかつて支払っていた金額より22~25%アップになってもやむを得ない、などというざっくりとした枠組みは設定しておきましょう。
この数字的な根拠は、先ほどの資料の10月〜12月期は平均12%アップという数字に年末年始と円安によるモノ全体の値上がり分を乗せてイメージしたものです。当然、この数字は各家庭の状況によって変わりますから一概にはいえませんので留意しましょう。
心穏やかに1年の大事なイベントを過ごすことで、新たな気持ちで家計運営に取り組んでみてはいかがでしょうか。
出典
国土交通省 観光庁 旅行・観光消費動向調査 2023年7-9月期(速報)
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者