更新日: 2023.12.24 働き方

「手取り15万円」本社は東京ですが、地方で事務職として「フルリモート勤務」をしています。給与が少ない気がするのですが、地方で最低賃金が低いからでしょうか?

「手取り15万円」本社は東京ですが、地方で事務職として「フルリモート勤務」をしています。給与が少ない気がするのですが、地方で最低賃金が低いからでしょうか?
2023年10月に最低賃金の改定が行われました。地域別の最低賃金時間額では、東京都が1113円でトップ、岩手県が893円で最下位という結果になりました。
 
コロナ禍を経て、ニューノーマルな働き方として「フルリモート勤務」を導入する企業、その形態で勤務する従業員はそれぞれ増加しています。フルリモート勤務をする中で気になる要素のひとつが最低賃金です。特に、本社は東京にあるがフルリモートで地方勤務する場合の賃金基準などは注意が必要です。
 
本記事では、最低賃金適用の基準と自身の給与が最低賃金を超えているか否かを確認するポイントについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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自身が属する事業場がある都道府県の最低賃金が適用される

結論からいえば、フルリモート勤務を行う場合、勤務を行う場所にかかわらず、その社員の所属する事業場がある都道府県の最低賃金が適用されます。今回のケースでは、実際に仕事をしている地方ではなく、自身の属する事業場のある東京都の最低賃金が適用されます。
 
仮に、本社は東京で住んでいる地区に別で支社があり、その支社に所属している場合には、その地区の最低賃金が適用されます。自分が属している事業場の住所で最低賃金が決まるため注意しましょう。
 

最低賃金を超えているかどうか確認する方法

自分の給与が最低賃金を超えているかを確認する方法は報酬形態によって異なります。時間給制であれば時間給≧最低賃金額(時間額)、日給制であれば日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)、月給制であれば月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)といった形で勤務した時間や日数と給与を比較することで確認が可能です。
 
最低賃金を計算するうえでは支給される各種手当でも対象となるものとならないものがあるため注意が必要です。最低賃金の計算対象となるのは図表1のとおり、基本給と職務手当などの諸手当のみです。時間外勤務手当や休日出勤手当は対象となりませんのでご注意ください。
 
図表1

厚生労働省 最低賃金の対象となる賃金
 

東京都所属企業で手取り15万円が最低賃金を超えているか計算してみる

それでは、実際に今回のケースのように東京都に事業場がある企業に勤めていて手取り15万円の場合に最低賃金を超えているのかどうかを必要な情報を加えて計算してみます。
 
最低賃金の計算においては手取りの金額ではなく額面上の金額が対象となるため、手取り15万円を額面19万円の基本給と置き換えます。月給制の最低賃金を計算するには平均所定労働時間の算出が必要です。今回は年間所定労働日数250日、1日の所定労働時間は8時間とします。
 
この場合の計算は(19万円×12ヶ月)÷(250日×8時間)=1140円となり、東京都の最低賃金が1113円であるため、今回のケースは最低賃金を超えた水準であることが分かります。
 
仮に同じ労働基準で額面18万円が基本給の場合は1080円となり、最低賃金水準を下回るため、違反基準として申し出ることが可能です。自分の給与が最低賃金を超えているか否かは、所属している企業の事業場の都道府県、計算対象となる報酬、労働基準(日数、時間)をもとに個別計算する必要があります。
 

手当などに惑わされずに賃金を確認することが大切

企業によってはさまざまな手当をつけて、報酬を多く見せるケースも増えてきています。特に時間外勤務手当を一定時間分組み込んだ「みなし残業制度」を導入している場合、月々の給与と実際の基本給の中身に差があり、基本給が最低賃金を超えていないケースがあるかもしれません。最低賃金未満の賃金しか支払っていない企業は法的に罰せられます。
 
具体的には、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払い、かつ、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に罰則(30万円以下の罰金)が定められています。
 
リモートワークが進む中で自身の属する企業が適切な賃金を支払っているか不安な人は一度確認してみることをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧
厚生労働省総務省 テレワーク総合ポータルサイト
厚生労働省 最低賃金の対象となる賃金
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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