更新日: 2023.12.20 働き方
転職先に「退職金」がなく、母に驚かれました。退職金がない会社ってめずらしいですか? 老後はやはり不利なのでしょうか…?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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退職金がない会社はどれくらいある?
退職金がない会社の実態については、厚生労働省がまとめている「退職給付(一時金・年金)の支給実態」で知ることができます。では、令和5年(2023年)に発表された同調査から、会社の規模別に紹介していきます。
・30~99人規模の会社
退職金制度を設けている会社の割合は70.1%で、ない会社の割合は29.9%です。退職金がある会社のうち、定年退職者の割合は52.5%となっています。
・100~299人規模の会社
退職金制度のある会社の割合は84.7%で、ない会社は15.3%です。この規模では、57.1%が定年退職者となっています。
・300~999人規模の会社
この規模の会社で退職金制度を設けている会社は88.8%、設けていない会社は11.2%です。定年退職者は53.6%となっています。
・1000人以上の規模の会社
1000人以上の規模になると、退職金制度を設けている会社は90.1%と多くなっています。退職金がない会社は、9.9%だけです。定年退職者は最も多く、58.5%です。
退職金の平均額は?
続いて、退職金の平均額を紹介します。参考資料は、先ほどと同じ厚生労働省の「退職給付(一時金・年金)の支給実態」で、令和5年の調査です。なお、対象は勤続20年以上、45歳以上の退職者です。
・大学・大学院卒(管理・事務・技術職)
平均額は、定年退職の場合で1896万円、会社都合の場合で1738万円、自己都合で1441万円となっています。早期優遇による退職金の平均は2266万円です。
・高校卒(管理・事務・技術職)
平均額は、定年退職で1682万円、会社都合で1385万円、自己都合だと1280万円になります。早期優遇になると、退職金の平均は2432万円に上がります。
・高校卒(現業職)
平均額は、定年退職で1183万円、会社都合で737万円、自己都合の場合は921万円です。早期優遇だと金額は大きく上がり、平均2146万円です。
退職金がない場合の老後対策
紹介したように、早期優遇を除いては定年退職が最も高い退職金を受け取れます。企業規模や学歴、職種などによって額は異なるものの、退職金があればそのまま老後資金にあてることが可能です。そのため、退職金がない場合は相応の資金を自分で貯めていかなければなりません。
退職金制度がない会社でも、財形貯蓄制度がある場合は定年までにそれなりのお金を貯めておくことは可能です。財形貯蓄制度とは、毎月の給与やボーナスから天引きされる形で続けていく貯蓄のことをいいます。
財形貯蓄制度がない場合は、給与とボーナスから地道に貯蓄を続けておく必要があります。退職金代わりのものと考えるなら、リスクを伴う投資ではなく、定期預金など地道に貯めていけるものがいいといえるでしょう。
仕事を選ぶポイントは退職金制度だけではない
退職金制度のある会社なら、退職時にまとまったお金を受け取れます。しかし、仕事選びで大切なのは退職金だけではありません。ここで紹介した退職金はあくまで平均で、会社によってはもっと安い額しか受け取れないこともあります。
それよりも、自分に合っている仕事であることが一番ではないでしょうか。また、月々の給与が業務内容に見合っているかどうかや、福利厚生の状況などで総合的に判断しましょう。
出典
厚生労働省 令和5年就労条件総合調査 結果の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー