更新日: 2023.12.13 働き方
どうしても行きたいライブがあります。昼休みを仕事に当てれば、その分早く帰れるでしょうか……?
「昼休みを仕事に当てて、その分だけ早く退社」というのは当人にとって都合のよいアイデアですが、このような方法は実現可能なのでしょうか。本記事ではその可能性と、実現が難しい場合の対策について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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労働時間と休憩時間について知っておこう
出勤から退勤までの時間を「拘束時間」といいます。拘束時間を構成するのは労働時間と休憩時間です。労働時間は、所定労働時間と所定外労働時間に分けられます。
・所定労働時間と所定外労働時間
労働基準法が定める労働時間は、1日8時間、1週40時間です。会社は、この労働時間内で社員の所定労働時間を自由に決められますが、原則労働時間を超えて働かせることはできません。
ただし、労使協定で時間外・休日労働について定めたうえで行政に届け出た場合は、時間外労働(残業)が可能になります。労働基準法で定められた時間外労働時間は、月45時間・年360時間までです。
・休憩時間
労働基準法では休憩時間を保障しています。労働時間が8時間を超える場合は、1時間以上の休憩時間が必要です。労働時間には休憩時間は含まれないため、原則休憩時間分の賃金は支払われません。
ただし、休憩時間に電話対応に就いていたり、会議の開始や資材などの到着を待っていたりした場合は、その分の賃金が支払われる可能性があります。
昼休みを仕事に当てることは可能か
労働者は会社が定めた所定労働時間を守る義務があります。そのため、原則自分の裁量で所定労働時間より早く退社することはできません。では、昼休みを所定労働時間に充てることは可能なのでしょうか。
・まずは就業規則を確認
昼休みを所定労働時間に充てるためには、まず就業規則を確認する必要があります。就業規則には、始業と終業の時間、休暇・休日、賃金といった、会社と社員が守るべきルールが定められています。
・就業規則に記載があれば可能
就業規則に記載があれば、昼休みを所定労働時間に充てることは可能です。一方、そのような記載がなければ、自分の裁量で昼休みを所定労働時間に充てて、その時間の分だけ早く退社することはできません。就業規則に違反した場合は懲戒処分の対象になる可能性があるため注意が必要です。
就業規則に記載がない場合の対策
就業規則に「昼休みを所定労働時間に充てられる」といった旨の記載がない場合は、次のような方法を検討しましょう。
・早退を申し出る
就業規則には早退に関する記載がある可能性が高いです。就業規則に記載があった場合は、その規定に従って上司に早退を申し出ます。その際に理由を聞かれた場合は、「諸般の事情のため」「私用のため」などと告げましょう。就業規則に記載があれば、よほどの繁忙期でない限り拒否されることはありません。
・有給休暇を取得する
労働基準法では、一定期間勤務を継続した労働者に対する有給休暇を保障しています。なお、付与される有給休暇の日数は、雇用日から起算した勤続期間によって異なります。
ライブに行きたいなら早退か有給休暇を利用しよう
ライブに行きたいからといって、自分の裁量で昼休みに仕事をし、その分の時間だけ早く退社するのはやめておきましょう。勤めている会社の就業規則に「昼休みを所定労働時間に充てられる」といった記載があれば問題ありませんが、なければ懲罰の対象になる可能性があります。
もし、どうしても行きたいライブがあるなら、早退を申し出るか有給休暇を取得しましょう。
出典
e-Gov法令検索 労働基準法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー