更新日: 2023.12.10 働き方
「年末年始」の休みを有休でとるように言われました。これって「違法」ではないですか?
労働者には勤続年数に応じて決められた日数の有給休暇が付与されますが「人手不足なので休まれると困る」などという理由で、もともと休みであるはずの日に有給休暇を割り当てようとする会社もあるようです。
こうした行為は、労働基準法違反にならないのでしょうか。
本記事では、年末年始の休みを有給休暇でとるよう会社から言われた場合の考え方についてご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
目次
有給休暇とは?
労働基準法第39条では「勤続6ヶ月以上で全労働日の8割以上出勤していることを条件とし、すべての労働者に有給休暇が付与される」としています。
継続勤務年数に応じた有給休暇の付与日数を表1にまとめましたので、参考にしてください。
表1
継続勤務年数 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
年次有給休暇の付与日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
※厚生労働省「リーフレットシリーズ労基法39条」をもとに筆者作成
有給休暇は労働者の心身のリフレッシュを主な目的としており、基本的には労働者が指定する日時に取得できるよう定められています。
ただし「労働者が希望する日時に有給休暇を消化すると、事業の正常な運営が妨げられる」と判断される場合に限り、会社側から有給休暇の取得日を変更してもらうよう労働者に相談できます。
年末年始は必ず会社を休みにしなければならないのか?
労働基準法第35条によると「労働者は1週間に1日、または4週間に4日以上の休日が与えられなければならない」とされています。
「いつ休日を与えるか」については定めがなく、休日や年末年始休暇については会社ごとの就業規則で定められている場合がほとんどではないでしょうか。
つまり「年末年始を必ず休みにしなければならない」という決まりはない、といえます。
ただし就業規則で年末年始休みについて明記されていれば、もともと「休日」として定められていることになるため、会社側がその日に有給休暇を取得させることは違法であると考えられます。
会社が稼働しているのであれば年末年始に有給休暇をとらせても問題ない
年末年始に会社が稼働していて「出勤日」になっている場合は、有給休暇を取得することが可能であると思われます。
会社には「時季指定義務」があり、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、年5日分の有給休暇を、会社が指定する日に与える必要があります。
時季指定義務を利用して年末年始に有給休暇を取得させることで、会社が労働者の休みを調整することは特に問題のない行為と考えていいでしょう。
もともと休日である日を有給休暇とすることはできない
年末年始の休みを有給休暇でとるよう会社から言われたときは、年末年始がもともと休みの日なのかを会社の就業規則などで確認しましょう。
もともと休日と定められている日に有給休暇をとらせることは違法であり、従う必要はないと考えられます。
年末年始も会社が稼働している場合は、会社が時季指定義務を利用して有給休暇を取得するよう求めてくることもあるかもしれません。
その場合は違法にはあたらない可能性が高いため、職場の就業規則を確認しましょう。
出典
厚生労働省
「リーフレットシリーズ労基法39条」
「年次有給休暇の時季指定義務」
デジタル庁 e-Gov法令検索 「労働基準法第35条」
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー