更新日: 2023.12.09 働き方

始業時刻は「8時」ですが、「7時50分」には席についています。ぎりぎりだと上司に「遅くない?」と言われますし、タダ働きのように感じてしまうのですが、この10分は労働時間に含まれないのでしょうか?

始業時刻は「8時」ですが、「7時50分」には席についています。ぎりぎりだと上司に「遅くない?」と言われますし、タダ働きのように感じてしまうのですが、この10分は労働時間に含まれないのでしょうか?
さまざまな理由から、始業時刻よりも前に余裕を持って出社している人も多いのではないでしょうか? また、ぎりぎりに席につくと、上司などから「もっと早く来るように」と指導されることもあるかもしれません。
 
始業時刻よりも前に席についていると、「この時間も労働時間に含まれ、給与が支払われるべきでないか」と考えることもあるでしょう。本記事では、始業時刻よりも前に席についている時間について、労働時間になるのかどうか解説しています。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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労働時間の定義

労働時間とは、「使用者の指揮命令下に置かれている時間」を指します。つまり、勝手に働いているのではなく、雇用主から直接的、または黙示的な指示を受け、働いている時間が労働時間です。
 
ただ、実務は業務かどうかの判断は簡単ではない場合も多く、具体的な指示がなくとも、慣例的に勤務時間外にやるべきことがあることもあります。このような場合、就業規則はもちろんのこと、強制力や客観的な事実に基づき、その時間が労働時間に該当するかどうかが判断されます。
 

始業時刻前に出社すること自体は珍しくはない

ひと昔前と異なり、昨今は労働時間を厳しく管理する企業が多いです。コンプライアンス順守が企業の義務とされ、サービス残業なども昔よりも減ってきていると思われます。しかし、実際には着替えや準備のために早めに出社する必要があったり、「新人は一番に出社する」というような慣習があったりします。
 
原則があるにせよ、多くの人が現在も始業時刻前に出社しているのが現状です。
 
しかし、始業時刻前に出社している場合でも、その時間が労働時間に該当するかどうかは職場によります。具体的にみていきましょう。
 

労働時間とみなされる事例

業務に必要な準備行為や、就業時間後の業務の後始末をしているような時間で、雇用主の指示があるような場合は労働時間とみなされます。例えば前日の業務が終わらずに、上司から「明日は早めに来て昨日の議事録を整理するように」などと言われ、10分早く来た場合などは業務とみなされます。
 
また、いわゆる「手待時間」も業務に含まれるのが基本です。始業時刻前に席に着き、指示があり次第、仕事に取りかかる準備ができている手待ち時間は雇用主の指揮命令下にあるといえます。
 

労働時間とみなされない事例

労働時間の基本は「使用者の指揮命令下にあるかどうか」です。そのため、始業時刻より前に来ていても、そのような状態ではない場合は労働時間とはなりません。例えば、交通混雑の回避や会社の駐車場のスペース確保などの理由で自発的に始業時刻よりも前に出社している場合、労働時間には該当しません。
 
このように、強制的に早めの出社が義務付けられているわけでもなく、自主的に早く来ているような場合、労働時間とみなされる可能性は低いでしょう。
 

まとめ

10分前の出社はひと昔前には慣例的で当たり前だった面もあります。現在においても多くの会社で見られる光景ですが、場合によっては労働時間とみなされます。法律にのっとり、適正な時間のみ働くようにしましょう。
 

出典

厚生労働省 労働時間の考え方:「研修・教育訓練」等の取扱い

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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