更新日: 2023.12.01 働き方
パートで働きたいです。社会保険の年収の壁は130万円だと思っていたのですが、106万円というのもあるのですか?
本記事では、130万円の壁、106万円の壁が適用される条件や年収のボーダーラインの考え方をまとめました。自分がどちらの壁を意識すべきか、確認してみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
130万円は勤務先や雇用条件にかかわらず社会保険の扶養を外れるボーダーライン
いわゆる「130万円の壁」は、配偶者や親などの健康保険・厚生年金保険(以下社会保険)の被保険者に該当するかどうかを判定するための収入要件です。厳密には、次の収入要件を満たす場合に、社会保険の被扶養者の認定を受けられます。
●年間収入(税込みの総収入額)130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)
●収入が扶養者の半分未満(別居の場合は扶養者からの仕送り額未満)
130万円の壁は、収入の種類や勤務先、雇用条件にかかわらず、一律に適用される条件です。
106万円の壁が問題になるのは勤務先・雇用条件の要件を満たす短時間労働の給与所得者
パートタイマーなど会社に雇われて働く短時間労働者の場合は、扶養を外れるかどうかを判定する基準として、130万円の壁に優先して106万円の壁が適用されることがあります。
106万円の壁が適用されるのは、勤務先の従業員規模や勤務時間数などの雇用条件が一定の条件を満たしている場合です。以下で、106万円の壁の詳細な内容や、106万円の計算方法を確認しましょう。
106万円の壁が適用される人の条件
106万円の壁が適用されるのは、勤務先が特定適用事業所または任意特定適用事業所である場合です。
特定適用事業所とは、1年間で6ヶ月間以上、短時間労働者を除く厚生年金保険被保険者の総数が101人以上の事業所をいいます。任意特定適用事業所とは、申し出によって対象事業所となった事業所のことです。
106万円の壁によって扶養から外れるのは、次の要件をすべて満たす場合です。
●週の所定労働時間が20時間以上
●所定内賃金が月額8万8000円以上
●雇用期間の見込みが2ヶ月以上
●学生ではない
所定労働時間とは、雇用契約書や就業規則で定められた、通常1週間当たりに勤務するべき時間をいいます。実労働時間ではないため、残業時間は含みません。例えば、週4日間、1日4.5時間勤務の契約の場合、急な残業で週20時間を超える週があっても、週の所定労働時間は18時間と計算します。
また、所定内賃金とは、週給・日給・時間給を月額に換算し、諸手当等を含めた金額をいいます。所定内賃金のボーダーライン8万8000円×12ヶ月=105万6000円であることが「106万円の壁」の名称の理由です。
「106万円」の計算方法
106万円の壁のボーダーライン8万8000円は、週給・日給・時間給を月額賃金に直して判定します。時給制で働くパートタイマーの場合、時給を次の式に当てはめて月額賃金を算出します。
時給×週の所定労働時間×52週(1年間)÷12ヶ月=月額賃金
ただし、計算の際に次の賃金は含みません。
●臨時に支給される賃金(結婚手当など)
●1ヶ月を超える期間ごとに支給される賃金(ボーナスなど)
●時間外・休日・深夜労働の賃金(残業手当など)
●最低賃金法で算入しないことになっている賃金(通勤手当、家族手当、精皆勤手当)
130万円の壁では残業代や通勤手当を含む総収入額で判断されるため、106万円の壁が適用されると単純に24万円ボーダーラインが下がるのではありません。
2024年10月にはさらに適用範囲が拡大する
106万円の壁の適用範囲は、段階的に拡大中です。2024年10月には特定適用事業所の要件が、厚生年金保険被保険者の総数101人以上の企業から、51人以上の企業に変更することが決まっています。
勤務先の厚生年金保険被保険者総数が、51人以上100人未満の企業に勤めている場合は、要件変更のタイミングで扶養を外れなければならなくなる可能性があるため、現在の労働時間や賃金を確認しましょう。
働き方で変わる社会保険の年収の壁に注意
パートタイマーが特に気にする必要がある社会保険の扶養のボーダーラインは、130万円の壁と106万円の壁の2つです。勤務先の規模や労働時間、賃金の状況によって、どちらの年収の壁が適用されるのかが異なります。106万円の壁の要件を確認して、自分が106万円の壁を意識する必要があるのかどうかを把握することが大切です。
出典
日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー