更新日: 2023.11.29 家計の見直し
断捨離の目安って? ~定年後の断捨離について考えよう~
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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「いずれ」「時間ができたら」は決して来ない
かつては「定年を迎えるころには子どもと同居している」と、別居しているとスタイルは違ってもいずれ子ども世代に責任をゆだねればよかったわけですが、今では、「自分の最期は基本的に自分でみとる」「後始末を考える」ことも責任を持たなければならなくなっています。
断捨離は、いよいよ足腰が思うように動かなくなってからでは、結局外部に依頼しなければならなくなったり、あるいはいわゆる“ゴミ屋敷”に住む結果になったりと、いう状況はひとごとではありません。
「いずれまた」は、意識しない限り決して来ないので、時間を見つけて意識的に断捨離に取り組むことが必要です。
断捨離と気構えず不必要なものを処分することを習慣化する
「いつでもできる」「ただ処分するだけ」と軽く考えるならば、「毎日やる」と習慣化させるのも1つの方法です。「今日は○○をやる」と気構えてしまうと、おっくうになるかもしれません。習慣化させるのは「目に入ったときに」「気になったもの」を処分するようにするのはいかがでしょうか。
粗大ごみの引き取りの手続きを行うのも、日常生活に取り入れるようにすれば、気が重くなる、負担感が出て面倒になってしまうことも軽減されるかもしれません。
残すか処分するかの見極め
一番の問題は「思い入れがあって、処分できない」ということかもしれません。また、このようなモノは「これはとっておきたい」「そういえば、これを使っているときはこんなことがあった」と思い出にふけりがち。これが作業を遅らせる、果ては断捨離を断念する、ことにつながる可能性があります。
そんなときは、もし家族がいれば、家族に見せて反応を探ってみてはいかがでしょうか。同居している家族が大して感動を示さず、「ふ~ん」という返事を返してくるならば、残しておいても意味がないと割り切ってみるのも良いかもしれません。
「いずれ子どもに見せて自分の経験を話したい」というのはこちら側の一方的な願いであって、現役世代の子どもたちにはそのように感傷にふけっている時間はないかもしれないと、考えを巡らせても良いでしょう。
「他人にとっては大したことはないかもしれないけれど、自分には思い出の品」と思うケースもあるかもしれませんが、その“自分”はいずれカラダの自由が効かなくなるかもしれませんし、あるいは「思い出の品」かどうかもわからなくなるかもしれません。終活を意識した断捨離を前提にする以上、「他人目線」を優先したほうが良いのではないでしょうか。
「今、使っていないけれど、また使うかもしれない」「もう使えないけれど、思い入れが強くて処分するには忍びない」というとき、その「けれど」が事実です。事実に基づいて判断する割り切りが必要です。
新しいものを購入するときも断捨離の決断のきっかけに
断捨離をしようとしている場合、新しいものを購入することは慎重にならざるを得ないでしょう。「処分しようとしていた、アレで代用できるのではないか?」と、一度立ち止まってみましょう。もし、時代遅れ、スペックが合わなくて代用できないような家電製品や機器、あるいは洋服だとしたら、処分の対象になるのではないでしょうか。
「理由付けをして先延ばしすること」は、結局膨大な時間とコストをかけることになります。これは断捨離に限らず、日ごろの家計運営にもあてはまるかもしれません。何事も目の前にあることは、迅速に取り組むという姿勢が必要でしょう。
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者