更新日: 2023.11.19 働き方

年収500万円の夫が、脱サラして「ラーメン屋」になると言っています。貯金も200万円なのですが、全力で止めるべきでしょうか…?

年収500万円の夫が、脱サラして「ラーメン屋」になると言っています。貯金も200万円なのですが、全力で止めるべきでしょうか…?
2021年に日本政策金融公庫が公表した「新規開業パネル調査」の業種別廃業状況によると、2016年から2020年までの調査機関における「飲食店、宿泊業」の廃業率は14.7%で、全体平均の8.9%を大きく上回る数値で1位となっています。
 
この調査結果からも分かるように、脱サラ(サラリーマン、会社員を辞めること)して飲食店を開業するにはリスクが伴います。そこで本記事では、脱サラしてラーメン屋にチャレンジする場合、どうしたらリスクを回避できるのかについて解説します。

リスク管理の観点で知っておくべきこと

脱サラによって一番大きな影響があるのは社会保険関連です。ここでは、理解しておきたい2つの点について解説します。
 

起業に失敗しても失業手当を受け取れる

かつては雇用保険の基本手当である、いわゆる失業手当が支給されるのは、離職日の翌日から1年間が原則でした。
 
したがって、脱サラした直後に開業した場合、受給期間を超えると失業手当の支給を受けることはできませんでした。しかし、2022年7月に特例が新設され、起業した場合は失業手当を受ける資格を最大で4年間持ち続けることができるようになったのです。
 

脱サラしても老齢厚生年金は支払われる

脱サラして起業したら、会社員時代に支払っていた厚生年金が無駄になってしまうのではないか、と心配になる人もいらっしゃるでしょう。現行制度では、会社員時代に支払ってきた厚生年金保険料はしっかりとカウントされており、将来受給できますのでご安心ください。
 
例えば、23歳から40歳まで会社員として勤め、平均年収が420万円であった人が2023年に脱サラした場合、将来、老齢厚生年金として受け取れる金額は、現行制度が続けば年額で約41万円です。
 
国民年金で支給される老齢基礎年金(2023年現在79万5000円)と合わせると、将来の受給額の予測は約120万円となります。毎月の受給額は約10万円ですので、足りないと感じるのであれば、不足分を自分自身で貯金するなど対策を打たなければなりません。
 
年収500万円であれば、3万7000円ほどを厚生年金保険料として支払っているはずですので、同金額程度は確定拠出年金などを老後資金に回しましょう。40歳から年金受給開始までの約25年間貯蓄すれば、1100万円程度になります。
 

会社員としてのラーメン屋

チェーン展開しているラーメン屋さんの多くは、株式会社として事業を行っていますので、そこで働いて修行した場合は会社員です。条件を満たせば当然、社会保険などは継続されます。
 
株式会社スタンバイが運営するスタンバイや、クックビズ株式会社が運営するcookbizなど、飲食店の求人を扱うサイトでラーメン店の求人を調べてみました。入社時から年収400万円を超える求人情報や、入社後に昇格して店長などになれば600万円超の年収も期待できる求人は多数掲載されています。
 
最初の1~2年ほどは現在の年収500万円を下回ってしまうかもしれませんが、その後は現状以上の年収になる可能性がある業界だといえます。
 

フランチャイズ店経営でのラーメン屋

株式会社じげんが運営するフランチャイズ比較.netや、株式会社ゼタセグメントが運営するフランチャイズ100などのフランチャイズ情報サイトで、フランチャイズ契約について調べてみました。
 
開業資金の設定は100万円前後から1000万円を超えるものまでさまざまです。融資などに便宜を図ってくれるフランチャイズ店もありますが、貯金が200万円しかないことを考えると、いきなりの独立はかなりのリスクです。
 
いきなりフランチャイズ契約を結んで経営者になるのではなく、まずはそのフランチャイズ店の社員として働くことも選択肢の一つ。勤め先のオーナーから、独立についての注意点など、ノウハウなどを直接聞くチャンスも当然あるでしょう。そこで学びながらじっくり独立について考えてみてはいかがでしょうか。
 

ラーメン屋に転職すると考えてみる

配偶者から急に、脱サラしてラーメン屋を始めたいと言われたら、不安でいっぱいになりますよね。開業資金で貯金もなくなってしまいますし、経営がうまくいかずに職を失う心配もしなければなりません。
 
しかしながら、ラーメン屋になることが夢なのであれば、リスクを回避しながらチャレンジする方法はあります。そのために、いきなり起業するのではなく、まずはラーメン店に転職するという方向で配偶者に提案してみてはいかがでしょうか。
 
求人情報などを見ると決して給料が安い業態ではないようですし、年収500万円からの収入アップも期待できるかもしれません。また、調理技術だけでなく、店舗経営者としてのノウハウも学べるでしょう。
 

出典

日本政策金融公庫総合研究所 「新規開業パネル調査」

厚生労働省 Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~

日本年金機構 保険料額表(令和2年9月分~)(厚生年金保険と協会けんぽ管掌の健康保険)

 
執筆者:老田宗夫
キャリアコンサルタント

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