更新日: 2023.11.04 貯金
「老後資金2000万円」に届きそうにありません…… 世間一般の方はどのくらい貯金しているのでしょうか?
いざ自分に当てはめてみると、とても2000万円を老後までに貯めることはできないと考える人もいるでしょう。同時に、ほかの人は一体どれくらいの預貯金があるのか気になってしまいます。本記事で2022年の調査から、最新の預貯金事情を確認しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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【金融資産保有額の中央値】単身世帯と二人以上世帯では?
老後2000万円問題は、金融庁が公表した「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」による以下の記述が発端となっています。
「高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている」
「不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約 1300 万円、30 年で約 2000 万円の取り崩しが必要になる」
しかし、この資料でも述べられているとおり、上記の計算はモデルケースの一つに過ぎず、実際に不足する金額は各家庭の収支やライフスタイルによって大幅に異なる点に注意が必要です。
ここで日本人の預貯金は実際にいくらあるのか、という疑問が湧いてきます。2022年12月に金融広報中央委員が行った「家計の金融行動に関する世論調査2022年(単身世帯調査)」によると、単身世帯の金融資産保有額の中央値は「100万円」でした。
さらに、年代別の中央値は以下のとおりです。
・20歳代:20万円
・30歳代:75万円
・40歳代:53万円
・50歳代:53万円
・60歳代:300万円
・70歳代:485万円
続いて、二人以上世帯の金融資産保有額の中央値は「400万円」です。年代別の中央値は、以下のとおりです。
・20歳代:44万円
・30歳代:200万円
・40歳代:250万円
・50歳代:350万円
・60歳代:700万円
・70歳代:800万円
年齢別の貯金格差が明らかに。解消するには?
調査の結果からは、単身世帯・二人以上世帯ともに、年齢ごとに金融資産の保有状況に格差があることが分かります。特に格差を感じるのは、単身世帯・二人世帯ともに、50歳代と60歳代の資産の差です。50歳代と60歳代の間には、定年による退職金という大きな収入があることが、預貯金額に差が生じている一つの原因と考えられます。
注意しておきたいことは、退職金の平均額は減少傾向にあることです。厚生労働省が実施している「就労条件総合調査」によると、大卒者の平均的な対処金額は、平成15年は2499万円であった一方で、平成30年の調査では1788万円と700万円もの差が生じています。
また、近年は転職へのハードルが下がっていることから、勤続年数に左右される退職金はさらに減ることが予想されます。老後を見据えて預貯金額を考えるうえで、退職金に頼る手はリスクが高い可能性があります。
・家計管理により無駄をみつける
・家賃や光熱費などの支出を削減する
・余暇の時間を利用して副業に取り組む
・預貯金より利回りの高い投資を検討する
・転職によって給与額を上げる
老後まで見据えて、上記のようなさまざまな方法で金融資産の適切な管理を行う必要があるのかもしれません。
出典
金融庁 金融審議会市場ワーキング・グループ報告書株式・配当・利子と税
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査2022年(単身世帯調査)
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 各種分類別データ(令和4年)
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査2022年 (二人以上世帯調査)
金融広報中央委員会 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 各種分類別データ(令和4年)
厚生労働省 平成15年就労条件総合調査の概況
厚生労働省 平成30年就労条件総合調査 結果の概況
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー