更新日: 2023.11.01 働き方

会社の残業手当が15分単位です。14分までの残業手当は切り捨てられる場合、違法ではないでしょうか?

会社の残業手当が15分単位です。14分までの残業手当は切り捨てられる場合、違法ではないでしょうか?
残業手当を15分単位で区切っていて、15分に満たない端数を切り捨てているといった企業もあることでしょう。しかし、勤怠管理は原則として1分単位で行う必要があり、切り捨ては違法です。遅刻や早退といった場合でも同様に実際の就業開始時間や終了時間に応じて1分単位で計算しなければなりません。
 
本記事では、残業手当の端数切り捨てについて解説します。残業手当が正しく支給されていない場合の対処法として、賃金請求権についてもまとめているので参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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残業手当とは?

残業手当とは、就業規則などに定められた所定労働時間を超えて働いた場合にもらえる手当を意味します。法定内残業と法定外残業の2種類に分類されており、それぞれの定義は以下のとおりです。

●法定内残業:労働基準法で定められている法定労働時間(1日あたり8時間、1週間につき40時間)の範囲内で行った残業
●法定外残業:労働基準法で定められている法定労働時間(1日あたり8時間、1週間につき40時間)を超えて行った残業

所定労働時間が9時から17時での企業の場合、1時間の休憩時間があるため実労働時間は7時間です。このケースで残業を17時から18時まですると実労働時間は法定労働時間の8時間を超えず、1時間の法定内残業を行った状態になります。法定内残業に対する割増賃金は企業の就業規則で定めており、一律ではありません。
 
それに対し、19時まで残業をした場合は実労働時間が9時間となり、法定内残業が1時間、法定外残業は1時間となります。割増賃金として所定の賃金に一定の割合を乗じた時間外手当の受け取りが可能です。
 

残業手当が15分単位で端数を切り捨てるのは誤った処理方法

残業手当が15分単位となっており、14分までの端数を切り捨てるという処理は誤っています。労働基準法でも「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められており、勤怠管理を1分単位で行うことを義務付けているのです。
 
残業時間を1分単位で行わず、端数を切り捨てて残業手当を支払わないのは労働基準法違反となって、30万円以下の罰金を処せられます。
 

遅刻や早退による切り捨ても違法

1分単位での勤怠管理が義務付けられている以上、遅刻や早退といった理由でも労働時間の端数を切り捨てることは違法になります。例えば、就業開始時間が9時で9時3分に出社した場合、出勤時間9時15分からにして12分の端数を切り捨てるといったケースです。遅刻や早退であっても、実際の出勤時間から1分単位で勤怠の計算をしなければなりません。
 

1ヶ月単位で残業手当を計算する場合は30分未満の切り捨てが可能

残業手当は原則として1分単位で管理しなければなりませんが、1ヶ月単位で残業手当を計算する場合は例外です。残業時間の合計について、1時間未満の端数がある場合は30分未満を切り捨てて、30分以上を切り上げて計算することは認められています。
 
例えば、1ヶ月の残業時間の合計が3時間20分なら残業時間は3時間で20分を切り捨て、3時間45分なら残業時間を4時間に切り上げて計算することが可能です。
 

未払い賃金は3年までさかのぼって請求が可能

残業手当が正しく計算されていない場合は「賃金請求権」によって、未払い賃金をさかのぼって請求できます。請求できる期間は5年(当面の間は3年)に定められているので、不足を見つけたら速やかに勤務先へ申し出ましょう。
 
請求できる期間を過ぎてから未払い賃金を請求しても、時効を迎えている以上はどうすることもできません。
 

残業手当は原則として1分単位で請求できる

賃金は、労働基準法にて全額払いを義務付けられています。残業手当を15分単位や30分単位で区切り、その時間に満たない労働に対して賃金が発生しないのは原則として違法なのです。「勤務先がそのようにしているのだから仕方がない」と諦める必要はないので、残業手当の切り捨てを見つけたら速やかに勤務先に申し出るなどしてください。
 
ただし、残業時間を1ヶ月単位で計算する場合については、切り捨てや切り上げが認められるケースがあるので注意してください。
 

出典

厚生労働省 東京労働局 しっかりマスター 労働基準法 -割増賃金編-
e-GOV 法令検索 労働基準法
労働省労働基準局 労働基準法関係解釈例規について
厚生労働省 未払賃金が請求できる期間などが延長されています
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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