更新日: 2023.10.30 働き方

毎月、給料から「社内旅行の積立金」が引かれています。そもそも行きたくないですし、払わないことはできないのでしょうか?

毎月、給料から「社内旅行の積立金」が引かれています。そもそも行きたくないですし、払わないことはできないのでしょうか?
従業員同士のコミュニケーションを活性化したり、日ごろの疲れをリフレッシュしたりするために「社内旅行」を行っている会社も多いものです。しかし、行きたくない人の中には「社内旅行の積立金」を支払いたくないという人もいるでしょう。
 
そこで、本記事では、社内旅行の積立金を支払わなくても良いのかどうかを解説します。あわせて、すでに支払った社内旅行の積立金を返してもらえるのかも紹介していきましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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社内旅行の積立金は支払わなくてもいいか?

基本的に賃金は、全額を従業員に支払わなくてはなりません。給料から天引きしてもよいのは「法令に別段の定めがある場合」と「労使協定がある場合」のみです。所得税の源泉徴収や社会保険料の賃金控除は、法令に別段の定めがあるため、全額払いの原則の例外となります。
 
一方、労使協定がある場合とは、福利厚生施設の費用や社内預金、事理明白なものについてのみです。そのため、社員旅行のために従業員の給料から費用を天引きする場合、会社は事理(物事の道理や筋道)を明白にして労使協定を結ばなくてはなりません。
 
労使協定に関しては、従業員一人ひとりが会社と個別に結ぶものではありません。労働組合が従業員を代表して、会社側と労使協定を結ぶことになります。労働組合がない場合でも、従業員の過半数を代表する人が会社側と労使協定を結びます。
 
したがって、個別で「給料から旅費を天引きしないでください」と言っても通用しません。給料からの天引きを拒否することはできないのです。
 
先ほど述べた通り、給料から天引きする際は、会社は事理を明白にする必要があります。つまり、旅行に行く時期や予定予算などをはっきりしたうえで、天引きする金額を決めなくてはならないのです。
 
もし何の説明も受けていないのであれば、労使協定が結ばれていない可能性があります。労使協定が結ばれていないにもかかわらず、給料から天引きを行うことは違法です。天引きを拒否したとしても、法的には何の問題もありません。
 

すでに支払った社内旅行の積立金は返還してもらえるのか?

従業員のなかには、病気で直前になって旅行に参加できなくなった人もいます。また、そもそも社員旅行に参加したくない人もいるでしょう。このような場合、従業員は会社に対して、これまでの積立金の返金を要求することが可能です。
 
ただし、直前になって参加できなくなった人に関しては、キャンセル料金を引いた金額の請求になります。一方、会社側も返金しなくてはなりません。なぜなら、目的が社員旅行の積立金であったとしても、社内預金の一種として見なされるからです。
 
その際、労使協定で返金についてどのように定めてあるのかを確認するようにしましょう。もし「返金の必要なし」と記載してあれば、会社側は返金しなくてもよくなるからです。返金に関して何の記載もないにもかかわらず、返金してもらえないのは違法です。
 

労使協定を結んでいる場合は天引きを拒否できない! ただし参加しない場合は返金請求を

基本的に賃金は、全額従業員に支払わなくてはなりません。しかし、会社が労使協定を結んで、給料から社内旅行の費用を天引きしている場合、1人だけ拒否することはできません。とはいえ、旅行に行きたくない場合は無理に参加する必要はないでしょう。
 
また、参加しなかった場合は会社にこれまで積み立てていたお金の返金請求をすることは可能です。会社が返金拒否することは違法になります。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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