更新日: 2023.10.05 その他家計

夫婦で育休をとると「育児休業給付金」はいくら支給される? 夫の月収30万、妻は25万の場合で試算

夫婦で育休をとると「育児休業給付金」はいくら支給される? 夫の月収30万、妻は25万の場合で試算
2023年7月31日に公表された「令和4年度雇用均等基本調査」によると、男性の育児休業取得率は17.13%と過去最高となっています。女性の取得率80.2%に比べるとまだまだ低い取得率ですが、周囲にも育休を取得する男性が増えてきたと感じる人もいるのではないでしょうか。
 
夫婦で育休を取る場合、多くの人が気になるのは収入面かもしれません。本記事では夫婦どちらも育児休業を取得した場合に家計はどうなるのか、具体例をもとに解説します。

育児休業中は育児休業給付金が支給される

育児休業中は会社からの給与は支給されないのが一般的ですが、代わりに雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。
 
育児休業給付金は男女にかかわらず同様の計算で支給額が決定されます。具体的な計算式は以下のとおりです。
 

■育休開始から180日間:
休業開始時賃金日額(賞与を除く育児休業開始前6ヶ月間の総支給額÷180)×支給日数(原則30日)×67%(上限額:31万143円)
 
■育休開始から180日間を超える期間:
休業開始時賃金日額(賞与を除く育児休業開始前6ヶ月間の総支給額÷180)×支給日数(原則30日)×50%(上限額:23万1450円)

 

育児休業給付金は非課税・社会保険料は免除に

育児休業給付金の金額は先述の通りですが、給付金は非課税のうえ育児休業中は社会保険料が免除されます。
 
そのため、実際には育休前の給与の手取りの8割程度になるケースが多いようです(育休開始から180日間)。なお、育児休業給付金は賞与の支給はありません。
 

夫婦2人分で合わせていくらになる?

具体例として、月収30万円の夫と月収25万円の妻の場合を見てみましょう。ここでは、毎月同額の給与が支給されていると仮定します。
 

【育休開始~180日間】

夫の育児休業給付金:30万円×6ヶ月÷180×30日×67%=20万1000円
妻の育児休業給付金:25万円×6ヶ月÷180×30日×67%=16万7500円
世帯収入:36万8500円

 

【育休開始後180日を超える期間】

夫の育児休業給付金:30万円×6ヶ月÷180×30日×50%=15万円
妻の育児休業給付金:25万円×6ヶ月÷180×30日×50%=12万5000円
世帯収入:27万5000円

 
統計局が公表した「2022年(令和4年)家計の概要」によると、2022年の2人以上の世帯(平均世帯人員2.91人、世帯主の平均年齢60.1歳)の消費支出は、1世帯当たり1ヶ月平均29万865円でした。
 
家庭の状況により実際の支出額は大きく異なりますが、平均値と比較すると育休開始~180日間は生活に支障はないと考えられます。ただし、育休開始後180日を超えて夫婦で育休を取り続けると、切り詰めた生活や貯金の切り崩しが必要になる可能性があるといえるでしょう。
 
育休の取得を検討する際には、事前に現在の給与額から夫婦それぞれが受給できる給付金の金額を試算し、取得期間を相談しておくと安心です。
 

育児休業給付金は2ヶ月ごとに振り込まれる

育児休業給付金は金額に加え、2ヶ月ごとに振り込まれる点に注意が必要です。通常、2ヶ月ごとに会社を通してハローワークに支給申請を行い、2ヶ月分がまとめて支給されます。
 
給与のように毎月決まった日に振り込まれるわけではないため、家計のやりくりには気を配る必要があります。
 
ただし、原則として2ヶ月ごとであるというだけで、1ヶ月ごとに申請することも制度上は可能です。毎月の支払いや生活の困窮で1ヶ月ごとの振り込みを希望する場合は会社に相談してみましょう。
 

家計の現状を見直し育休の準備を

家庭の状況にもよりますが、夫婦で育休を取った場合でも育休開始から180日間は非課税の育児休業給付金により手取りの8割程度の収入が見込めます。
 
育休取得前に夫婦で家計を見直したり、ファイナンシャルプランナーに相談したりしてライフプランを立てるなど、育休中や今後必要となるお金を考えた上で、夫婦同時に育休を取得するか、いつまで取得するかを考えておくと安心です。
 

出典

厚生労働省 令和4年度雇用均等基本調査

厚生労働省 令和5年8月1日から支給限度額が変更になります。皆さまへの給付額が変わる場合があります。

総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)結果の概要

 
執筆者:平原あかり
社会保険労務士・FP2級

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