更新日: 2023.09.20 その他家計

営業担当者「家賃と同額でマイホームが買えますよ!」→ちょっと待って! 家は家賃並みでは買えません! 年間支出は家賃と比べてどれだけ多いのか解説

営業担当者「家賃と同額でマイホームが買えますよ!」→ちょっと待って! 家は家賃並みでは買えません! 年間支出は家賃と比べてどれだけ多いのか解説
「家賃と同額でマイホームが買えますよ」「住宅ローン○万円! 家賃と比べてみてください」など、住宅ローンの返済額と家賃を比較するような文言は、住宅関係の広告で1度ならず見たことがあるのではないでしょうか。営業担当者のセールストークでも聞いたという人もいるかもしれません。
 
マイホームを検討中の場合、「今払っている家賃と変わらないのであれば、広くてきれいなマイホームにしようか」と思ってしまう人もいるでしょう。
ただ、住宅ローンの返済額と家賃のみを比べてマイホーム購入を決行してしまうと、家賃どころではない出費になり慌てる可能性があるため注意が必要です。本記事で、出費が家賃並みにならない理由を解説します。

執筆者:八木友之()

家賃並みにならない理由

なぜ家賃並みにならないのかというと、マイホームには賃貸住宅にはない支出があるからです。
 
賃貸住宅は契約更新時に火災保険料や家賃保証料などの支出がある場合もありますが、基本的には家賃以外の負担はありません。家賃が月10万円の物件であれば、年間120万円の負担のみで住み続けられます。大家が負担する固定資産税や修繕費などの必要経費が考慮されたうえで決められた家賃を支払っているので、すべて込々ということですね。
 
これに対してマイホームは自分が所有する不動産になるので、大家と同様に固定資産税や修繕費も自分で支払わなければなりません。
 
つまり、住宅ローンの返済額を家賃並みで組んでしまうと、それらの支出分は足が出る形になります。
 

マイホームにしかない支出とは

賃貸に住んでいるときには関係ありませんでしたが、マイホームを持った途端に負担しなければならなくなる代表的な支出は以下のとおりです。
 

固定資産税

固定資産税は毎年1月1日時点で不動産を所有している人に対してかかる税金で、マイホームを所有し続ける限り毎年発生します。金額は所在地や家の大きさなどによってさまざまですが、一般的な新築戸建て住宅で10万円から20万円程度になります。
 

修繕費

建物は劣化するのでいずれ修繕費がかかります。特に雨風にさらされる外壁や屋根などは、定期的なメンテナンスが必要です。
 
家は、車検のように強制的な定期メンテナンスがないため後回しになりがちですが、10年20年後に突然100万円単位の修繕費が必要になる場合もあります。マンションの修繕積立金のように、戸建ても購入したときから毎月積み立てをしておくと安心かもしれません。
 

保険料

マイホームは万一に備えて火災保険や地震保険に加入するのが一般的です。保険料は建物の構造や保険内容によって異なりますが、平均としては年間1~2万円ほどとなっています。
 
ただ、火災保険料については賃貸でも負担する場合があるので、ここでは計算に含めないものとしましょう。
 

マイホームにしかない住宅ローン控除

マイホームにしかないお得な制度も紹介しておきます。住宅ローン控除です。住宅ローンを利用してマイホームを取得した人は、原則として住宅ローン年末残高の0.7%を最大13年間、所得税と住民税から控除できます。
 
例えば、住宅ローン年末残高が3000万円の場合、所得税と住民税を最大21万円減らせます。固定資産税に充当できる金額ですね。
 

まとめ

マイホームでは住宅ローン返済のほかに、固定資産税や修繕費などがかかります。例えば、固定資産税10万円、修繕費10万円(年間10万円積み立てた場合)とすると年間20万円が必要になります。家賃並みと思って購入した場合には大きな誤算になるのではないでしょうか。
 
購入後13年間は住宅ローン控除に救われるかもしれませんが、控除がなくなった途端に支払い不能状態に陥る可能性もあるかもしれません。
マイホームを購入する際には、年間の維持費も考慮したうえで住宅ローンの金額を決めるのが鉄則です。
 

出典

総務省 固定資産税

国土交通省 住宅:住宅ローン減税

 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士

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