更新日: 2023.09.06 働き方

【時短正社員 VS 社保ありパート】育休後に「週30時間」働くならどっちがお得? 給与面や休みの取りやすさなどを比較!

【時短正社員 VS 社保ありパート】育休後に「週30時間」働くならどっちがお得? 給与面や休みの取りやすさなどを比較!
厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、18歳未満の子どもがいる世帯の母親が仕事をしている割合は75.7%と、共働き世帯が増えています。また、「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」によると、男性の育休等取得率は46.2%と半数にのぼる勢いです。
 
夫婦のどちらかが育休を取得するとして、育休復帰後の働き方を「時短の正社員」か、正社員を辞めて「パート」になるか、悩む人も多いのではないでしょうか?
 
本記事では同じ週30時間働く場合、時短正社員とパートではどちらがお得かを給与・ボーナス・有給休暇などさまざまな面から検証します。

給与額はどちらが高い?

例えば、もともとフルタイム(1日8時間勤務)で月給20万円の人が時短により毎日6時間勤務に変更になった場合、勤務時間が3/4になるので、20万円×3/4=15万円。つまり月給は15万円になります。時短正社員の月の所定労働時間を120時間(1日6時間×週5日×4週)とした場合、時給換算すると15万円÷120時間=1250円です。
 
つまりパート勤務の場合は、時給1250円以上のところかつ同所定労働時間で働ければ時短正社員と同等かそれ以上の給与額になりますが、それ以下なら当然月給は低くなります。さらに、パートの場合は祝日などの関係で勤務日数が少ない月は給与も少なくなり、収入に波ができる点には要注意です。
 

週30時間勤務ならパートでも社会保険に加入する

週30時間勤務する場合、パートでも扶養から外れて自身で社会保険に加入することになります。
 
月給15万円の社会保険料は時短正社員・パートいずれの場合も、健康保険料7500円+厚生年金保険料1万3725円=2万1225円です(2023年度・東京都の場合)。なお、40歳以上の人は介護保険料(1365円)が控除されます。また、これに加えて雇用保険料・所得税が控除されます。
 

有給休暇はどちらの方が多い?

有給休暇が付与される日数は正社員・パートなど働き方によって決まるのではなく、週の所定労働日数によって決まります。時短正社員と週の所定労働日数が5日以上かつ週の所定労働時間が30時間以上のパートの有給付与日数は図1のとおりです。
 
また、週の所定労働日数が4日以下かつ週の所定労働時間が30時間未満のパートは、日数に応じて図表2のとおりに付与されます。
 
図表1
 
図表1
 
図表2
 
図表2
 
厚生労働省 リーフレットシリーズ労基法39条 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっていますを基に筆者作成
 
図表1、2から分かるように、同じ週30時間勤務のパートでも1日10時間×3日の場合と1日6時間×5日の場合では付与日数が大きく異なります。
 
また、産休・育休期間中も勤続年数に含まれます。途中で育休を2年間取っていたとしても、入社から6.5年以上たっていれば時短正社員・週5日勤務のパートの場合20日間の有給が付与されます。
 

ボーナス・退職金はどうなる?

ボーナスや退職金については会社の就業規則によります。「同一賃金・同一労働」のもと、パートにもボーナスを支給するよう求められていますが、実際は正社員のみの会社やパートは寸志のみの会社がまだまだ多数派を占めるでしょう。
 
毎月の給与額や社会保険料・税金が同等でもボーナスの有無で年収は大きく変わってくるので、復帰前に総務部など担当部署によく確認しておきましょう。
 

保育料・住民税は?

保育料は年収によって決定するため、ボーナスがなく年収が低くなる場合はパートの方が安くなります。住民税も同様に年収によって決定するため、年収が低い方が安くなります。
 

時間や休みの融通はパートの方が利きやすい?

ボーナスや退職金の差により金銭面では時短正社員の方がお得と言えますが、時短とはいえ正社員の場合は仕事の負担が大きくなりやすいものです。また、時短正社員は出退勤時間があらかじめ決まっている場合が多いですが、パートの場合は保育園の送迎時間などの生活スタイルに合わせてシフトの融通が利きやすくなります。
 
また子どもの行事のために平日の休みが必要な場合も、もともとの出勤日に有給を取らなければならない時短正社員よりも、シフト希望を出して休みを取れるパートの方が休みやすい場合が多いでしょう。
 

金銭的にお得なのは時短正社員

ボーナスや退職金などの金銭面で考えるとお得なのは時短正社員です。しかし、体調面・精神面の負担を減らし、長く働き続けるためにパートという働き方を選ぶことにも一理あります。家族の状況や自身の仕事と家庭の両立のキャパシティを考え、後悔のない選択をしましょう。
 

出典

厚生労働省 2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 結果の概要

全国健康保険協会 令和5年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京都)

厚生労働省 「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」(速報値)

 
執筆者:平原あかり
社会保険労務士・FP2級

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