更新日: 2023.08.01 働き方

大企業に勤めて3年目、「3年勤続したから退職金をもらって転職したい」のですが、いくらくらいもらえますか?

大企業に勤めて3年目、「3年勤続したから退職金をもらって転職したい」のですが、いくらくらいもらえますか?
大手企業に勤めることのメリットに、充実した福利厚生の存在があります。退職金(退職一時金)が支給されることに引かれて、大企業に就職した方もいるでしょう。
 
先日、勤続3年目の方から「退職金をもらって転職したい」と相談がありました。そこで、勤続3年目でもらえる退職金がどれくらいか、統計データを確認していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

退職金は勤続年数によっては受け取れないこともある

退職金の支給は義務ではありません。退職金を受け取るには、勤務先の会社に退職金制度(退職給付制度)が導入されていなければなりません。
 
また、会社に退職金制度が導入されていたとしても、勤続年数によっては受け取れないことがあります。1年や3年、5年や10年など、退職金は会社の規定年数を勤続した場合に受け取ることができる、という支給規程となっている企業がほとんどです。
 
厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査報告」によれば、自己都合退職の場合、退職金の支給に必要な最低勤続年数を「3年以上4年未満」としている企業の割合は56.2%となっています。退職金が支給される大抵の企業は、3年以上勤めれば退職金を受け取れると考えてよさそうです。
 
「1年以上2年未満」「2年以上3年未満」としている企業も含めると、実に80%以上の企業が4年未満の勤続年数で退職金を受け取れるようになっています。
 
しかし、5年以上の勤続年数を必要としている企業も10.9%存在しています。退職に当たり退職金を受け取りたいのであれば、必ず退職金規程を確認しておくことが大切です。
 

3年勤続でもらえる退職金はどれくらい?

では、具体的に3年勤続して転職した場合にもらえる退職金がどれくらいか見ていきましょう。転職を理由に退職する場合、基本的には自己都合退職となります。
 
厚生労働省の「令和3年賃金事情等総合調査」によれば、高卒の総合職相当の方が自己都合退職にて受け取れる退職金は31万4000円で、支給される金額を月収換算すると1.6ヶ月分相当となるようです。
 
続いて大卒の総合職相当の場合、自己都合退職で受け取れる退職金は32万3000円となり、月収換算では1.3ヶ月分です。上記はあくまでも平均的な数値であるため、勤務先によってはもっと高いあるいは低い可能性もあります。
 
なお参考までに、高卒総合職が3年間勤務し会社都合で退職した場合に受け取れる退職金は52万2000円で、月収換算で2.7ヶ月分となるようです。大卒総合職となると受け取れる退職金は69万円で、2.8ヶ月分相当になります。
 
会社都合となると、本人に離職の責任がない分、退職金の額も割高になるようです。会社都合の退職には、会社からの退職奨励や希望退職などが想定されます。
 

実際にもらえる退職金の額を知る方法は?

退職金の支給がなされる会社の場合、退職金の支給条件や支給額の決定方法は、就業規則など賃金の計算式や給与形態が分かるものを見ることで確認できます。
 
特に就業規則は、従業員に対して開示義務があるものになるため、就業規則がどこにあるか分からないという場合、勤務先に請求することで確認することができます。
 
なお、就業規則が存在しない場合は、入社時の雇用契約書などを確認することでも、退職金の支給について知ることができます。
 

退職金の額については勤務先に要確認

大企業に3年勤めた場合の退職金は統計上、学歴や職種などによって給与の1.3ヶ月分から1.6ヶ月分、おおむね30万円前後の金額となることが想定されます。
 
しかし、退職金の支給は絶対ではありません。勤務先の規程によっては受け取れないこともあります。退職金を受け取れるかどうか、そして額が何円になるのかは個別の事情によって異なります。退職金の支給の有無や額については必ず勤務先に確認するようにしてください。
 

出典

厚生労働省 平成30年就労条件総合調査報告
厚生労働省 令和3年賃金事情等総合調査
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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