更新日: 2023.07.30 働き方

年収300万円の独身フリーランスです。マイクロ法人を作る意味はありますか?

年収300万円の独身フリーランスです。マイクロ法人を作る意味はありますか?
働き方の多様化が進み、フリーランスで働く人や、フリーランスでの働き方に興味をもつ人が増えています。フリーランスで働く理由はさまざまですが、自由な働き方に憧れる人も多いのではないでしょうか。
 
一方、会社に属さない働き方で自由を得られる分、厚生年金や退職金などに不安を感じることもあるでしょう。そこで本記事では、年収300万円の独身フリーランスの人を例に、フリーランスと法人(マイクロ法人)について比較しながら解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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フリーランスが検討したいマイクロ法人とは?

マイクロ法人とは、主にフリーランスの人が従業員を雇わず、ひとり法人として法人化することを指します。法人化することで、加入する健康保険や年金制度が変わり、社会保険への加入や税制面のメリットを目的として、マイクロ法人を設立するケースも増えているようです。
 

マイクロ法人とフリーランスの違い

まず、加入する健康保険制度が違います。フリーランスが加入するのは国民健康保険で、保険料は前年度の所得によって違い、全額を自身で支払う必要があります。
 
一方、法人化することで加入する健康保険は協会けんぽなどになり、保険料は法人と個人で折半します。そのため、法人化したほうが個人負担の保険料は軽減されることが多いです。
 
次に、加入する年金制度も違います。フリーランスは国民年金に加入で、マイクロ法人は厚生年金に加入となります。
 
法人化することで、いわゆる年金の2階建て部分も準備できることから、老後資金面で安心につながります。前述の健康保険料と同じく、厚生年金保険料も労使折半であるため、フリーランス時代よりも法人化のほうが保険料負担は軽減されます。
 
最後に課税関係です。フリーランスでは事業所得について所得税が発生します。マイクロ法人にすることで、これまでの事業所得は法人の売り上げ(所得)となり、代表者は給与として毎月一定額を受け取ります。
 
この際、法人から受け取った給与は給与所得控除の対象となります。なお、フリーランスは給与がないため、給与所得控除の適用はありません。
 

年収300万円でも法人化するメリットとは

ここからは、年収300万円でも法人化するメリットについて考えてみます。年収によらず法人化するメリットは、大いにあるでしょう。
 
なぜなら、日本の平均寿命はさらに延びていくと予想され、老後資金の観点から、早い段階で法人化し厚生年金に加入することで、少しでも老後に備えることがよいと考えるからです。
 
もちろん、国民年金加入でも老後資金対策は可能です。例えば、国民年金基金や付加年金、iDeCoなどがあります。しかし、法人化し厚生年金に加入することで、保険料は労使折半でよく、個人が全額支払う必要はありません。
 
そのため、個人にかかるお金で考えると、金銭的な負担は軽減しながら、老後資金は備えられるということになります。
 
また、法人化することで社会保険料や所得税に関して一定の節税効果が期待できます。ただし、節税効果で考えると、年収300万円では法人化は見送ったほうがよいという意見もあります。
 
一般的には年収600万円以上あたりを目安に、法人化するメリットがあるといわれています。しかし、この年収基準はあくまでも節税を目的とした法人化であり、社会保障上のメリットは考えていないものと推察されます。
 
もちろん、まずは金銭的なメリットを中心に法人化を考える必要はあります。しかし、これまでフリーランスで好きな仕事を選んできた人にとって、より自分らしく、安心した環境で長く働くことは理想であるともいえます。
 
これらを基準に考えると、好きな仕事をしながら長く働くためには、社会保険(健康保険、厚生年金)を整えたうえで安心して仕事に集中できる環境整備も選択肢のひとつであると考えます。
 

まとめ

マイクロ法人にすることで、フリーランスよりも社会保障が充実します。そのため、好きな仕事を安心した環境で長く続けたい場合にはおすすめです。
 
一般的にマイクロ法人化する目安は、年収600万円前後であるといわれていますが、社会保険の充実を考えると、年収300万円でも十分にマイクロ法人のメリットは享受できると考えます。
 
もちろん、節税効果など金銭面も重視する必要はありますが、制度の充実をはかり自分らしく長く働くうえで、早期の法人化は検討の価値があるのではないでしょうか。
 

出典

国税庁 給与所得控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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