更新日: 2023.07.27 働き方
風邪で有休を取得すると、後から「診断書」の提出を求められます。本当に提出の必要があるのでしょうか?
しかし、本来、有休とは使用者が利用範囲を決められるものではありません。今回は、そもそも有休とはどのような性質のものか説明し、体調不良のときに利用できる制度などを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそも有給休暇の目的とは?
厚生労働省によれば、有休は「労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るため、また、ゆとりある生活の実現にも資する」ことを目的とした休暇です。つまり、心身をリフレッシュさせるための休暇であり、原則として、従業員自身が自由に請求できます。疲労回復といっても、必ず体調不良を取得理由とする必要はありません。基本的には、外出を理由に休もうとも自由です。
有休は、入社してから6ヶ月を経過した時点で正社員は年10日間付与されます。以降、1年6ヶ月で年11日間、2年6ヶ月で年12日間と増えていき、最長で年20日間の有休を使えます。
有給休暇の取得は従業員の権利であり、休ませるのは使用者の義務です。そのため、自発的に有休をとっていない従業員には使用者が時季を決めて休ませることもあります。これを「時季指定義務」といいます。
ただし、時季指定して休ませるときも、使用者が勝手に決めてはいけません。あらかじめ従業員の希望を聞き、その上で調整することが原則となっています。一方、従業員が有休を請求した場合でも、業務に支障が出るなどの正当な理由があるときは使用者が時季をずらすことも可能です。これを「時季変更権」と呼びます。
体調不良に備えて知っておきたい制度
今回の場合のように、風邪などで体を休めたいときは有休を使えます。診断書など証明する書類も基本的には不要です。会社には「安全配慮義務」がありますから、長く体調を崩している従業員に対して症状を聞くこともあるでしょう。
しかし、有休取得の妨げをしたり証明できないことを理由に欠勤扱いしたりすることはできません。有休を使う従業員に対して不利益な扱いをすることも、法律で禁じられています。使える有休がまだ残っているなら、取得して体を休めましょう。
会社によっては、有休のほかに特別休暇制度を設けている場合もあります。例えば、「病気休暇制度」や「短時間勤務制度」などです。「病気休暇制度」を設けている会社なら、風邪や感染症、けがなどで回復に日数を要するときに利用できます。
通院が必要なときに心強い制度が「短時間勤務制度」です。取得条件などは会社側で決めるのが一般的ですが、これらの制度があれば有給休暇とは別に休めます。特別休暇制度があるときは、通常は就業規則に明記されています。確認して「病気休暇制度」などがあれば、利用するのも賢い働き方です。
有給休暇の取得目的は原則として自由
説明したように、有休の取得は原則として従業員の自由な意思で請求できます。心身を休めて生活にゆとりを与えることが、有休の本来の目的です。風邪など体調不良のときも、有休を使うことは基本的に問題ありません。診断書がないなどの理由で欠勤扱いになったり有休の使い方を制限されたりするときは、違法であることを念頭に置いて労働基準監督署に相談するといいでしょう。
出典
厚生労働省 年次有給休暇について
厚生労働省 労働契約法のあらまし
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー