更新日: 2023.07.13 働き方

有休を申請したら「繁忙期だから」と拒否されました。これは違法ではないですか?

有休を申請したら「繁忙期だから」と拒否されました。これは違法ではないですか?
労働者に与えられている権利の1つに「有給休暇を取得する権利」があります。本来であれば、有給休暇は労働者の好きなタイミングで取得できるはずです。しかし、会社が繁忙期であるために所得を拒否された場合は泣き寝入りをしなければいけないのでしょうか?
 
本記事では、繁忙期であることを理由に有給休暇の所得を拒否されることは違法なのか、解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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有給休暇の取得は権利

有給休暇の取得は労働基準法に定められている労働者の権利です。一定の要件を満たす労働者に与えられます。その要件は以下の2つです。これらの要件を満たすことで年10日の有給休暇が付与されます。

・雇用されてから継続して6ヶ月勤務していること
・全労働日の8割以上出勤していること

 

2019年からは時季指定義務が追加

2019年4月からは労働基準法の改正があり、時季指定義務が追加されています。有給休暇は本来、労働者が自分の好きな時季に申請し取得するものですが、周囲への配慮や遠慮から取得しにくいという問題がありました。
 
そこで、本来の労働者からの申請だけでなく、使用者が時季を指定して年に5日取得するように義務付けられています。この際、使用者は労働者の意見を尊重して時季を指定する必要があります。
 

原則として使用者は有給休暇の取得を拒否できない

事例のように、有給休暇の取得申請をした際に繁忙期を理由に拒否されることも考えられます。しかし、原則として使用者は労働者の有給休暇の取得を拒否することはできません。そのため、有給休暇の取得を拒否された場合は労働基準法違反となる可能性があります。
 
もっとも、使用者には時季変更権が認められているので、場合によっては有給休暇の取得日を変更されることも考えられます。
 

時季変更権について

使用者は時季変更権によって有給休暇の取得日を変更することが可能な場合があります。
 
例えば、多数の労働者が同時期に有給休暇を申請したために、取得を認めると会社の運営が困難になることが予想される場合です。このような場合は「事業の正常な運営を妨げられる」として有給休暇の取得日を別の時季に変更できます。
 

繁忙期を理由に時季変更権を使用できない

繁忙期に労働者が休むことは「事業の正常な運営を妨げられる」とも考えられますが、繁忙期を理由に有給休暇の取得日を変更することは認められません。使用者は正常な運営ができるように努力しなければいけないので、繁忙期だと分かっている場合は、その準備をするべきでしょう。
 
また、労働者と相談する機会を設けるなどして、有給休暇の取得を繁忙期からずらしてもらうなどの方策をとることも考えられます。有給休暇の取得を理由に不利益な取り扱いを労働者にすることも禁止されています。労働者は繁忙期であっても安心して有給休暇の取得を申請しましょう。
 

自分の好きなタイミングで申請してみましょう

本記事では、繁忙期であることを理由に有給休暇の所得を拒否されることは違法なのか、解説しました。繁忙期ということだけを理由に有給休暇の取得を拒否されることは労働基準法違反となります。
 
しかし、繁忙期ということ以外に、多くの労働者が同時期に有給休暇の取得を申請した場合は時季変更権によって有給休暇の取得日を変更されることもあるので注意する必要があります。有給休暇の取得は労働者の権利です。ある程度の配慮はすべきでしょうが、自分の好きなタイミングで申請してみましょう。
 

出典

厚生労働省 年次有給休暇の時季指定義務
厚生労働省 年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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