更新日: 2023.05.29 働き方

10年で副業収入が10倍!? 成功例として「個人事業主×受託」のケースを紹介

10年で副業収入が10倍!? 成功例として「個人事業主×受託」のケースを紹介
相次ぐ値上げや老後の年金問題、そして政府の積極的な後押しなど、今後の「普通の働き方」の一部に「副業」が組み込まれる要素は散見される。
 
実際、株式会社ライボ(東京都渋谷区)が2023年3月6日に発表した「2023年 副業・兼業の実態調査」によると、有効回答数336人のうち副業・兼業している人は22.6%に及ぶ。また、今後、副業・兼業したいと思う人は85.5%にも達している。
 
このような状況で多くの人が、いずれぶつかるであろう壁が「副業のキャリア・収入」ではないだろうか。「いくら働いても単価が上がらない」「トラブルに巻き込まれる」「本業との兼ね合いがとれない」といったリスクを低減し、安定した収入を選ぶには最初の仕事選びが重要だという。
 
2012年に副業デビューし、約8年で副業の最大年収は200万円超を達成したAさん(34歳男性)に「副業に必要なビジネス感覚」とその考えに至ったターニングポイントを伺った。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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初めての副業で「地獄を見る」可能性大?

都内に在住するAさんは、WEBプロモーション・制作系の自営業者だ。5年前に独立し、直近の年商は3000万円以上だという。独立するまでの約10年間のキャリアのほとんどは、新卒入社してすぐに始めた「副業」とともにあったという。まずはそのおおまかな副業で得た収支を確認してみよう。

■Aさんの副業収支の推移

●1~3年目:年20万円以下(労働力:大)
●4~5年目:年50万円程度(労働力:中)
●5~8年目:年200万円程度(労働力:大)

Aさんいわく、各段階で分かりやすいブレイクスルーがあり、副業のやり方などが大きく変わった結果、副業年収も跳ね上がったという。その経緯を詳しく聞いてみた。
 

最初で最大の鬼門! 間違えると「身を滅ぼす」副業初期

Aさんは当初、「やりたいことの実現」と「収入アップ」を目的に副業をスタートした。Aさんのやりたいことは「文章作成」の仕事で、クラウドソーシングに登録して能動的に案件に応募していった。
 
「今、振り返ってもかなりひどい案件でしたね。文字単価0.1円は当たり前。そのうえ、出し戻しも多く時給に換算すると100円くらいでしょうか(笑)。もちろん、私のスキル不足もありますが、最も足りなかったのは『副業もビジネス』という観点でしたね」
 
そして低すぎる収入を穴埋めするために、副業で弁当を工場に配達する業務委託を始めた。しかし、ほぼアルバイトのような仕事内容とあいまってAさんいわく、「完全にドツボにはまった」と語る。
 
「寝不足、ストレスでメンタルが不安定になりますし、本業にも支障をきたしていると思います。余暇や勉強する時間など、いろいろと目に見えないものを失うのに、得られるのは月2万円もないわずかなお金ですから。副業は始めやすいですが『無計画』や『ビジョン』がないと、悪い方向に進む可能性が高いのは明らかですね」
 

副業は個人事業主になって「待ち」ではなく「攻める」べし!

Aさんの副業暗黒時代は約3年続いた。しかし、どれだけ頑張って原稿を作成しても単価は0.3~0.5円程度。継続率がすこぶる悪く、とても収入の柱とはいえない状況だった。ドライバーの業務委託もやってみたが、約2年で打ち切られた。
 
そこでAさんが行ったのが、「看板を掲げる」という戦術だ。開業届を提出し、屋号も明記。名刺をつくり、メールアドレスも自分のドメインを取得して、簡単なホームページを作成した。そして、クラウドソーシングなどのプラットフォームの登録は、すべて解除したという。
 
「当初、私は副業の理想像って『頑張らずに稼ぐ』というイメージが強かったんだと思います。多分、今も『自宅にいながら働ける』とか『スキマ時間で稼ぐ』とか、そんな意識で副業をするのが理想って人は多いんじゃないでしょうか。もちろん、稼ぎたい額が少ないとか、専門的な分野で価値の高いスキルを有している人は、そんな働き方ができるかもしれません。ただ、私のような普通の会社員は、もっと腰を据えて本業と同じような感覚で取り組まないと『失敗』する可能が高いと思います」
 
自分で営業リストを作成し、DMなども送りまくった。さらに、SNS営業にも注力したという。しかし、その間の仕事は減り続けて、副業収入は月1万円以下になることも珍しくなかったという。
 
「赤字ですし、『副業にかけるべき労力やお金なのか?』という疑問は常にありました。ただ、結果的には方針転換は大成功でしたね。4年目の後半から徐々に案件が増え、単価も10倍を軽く超えるようになりました」
 
Aさんは、思い切って個人事業主になって副業に「投資」できた理由としては、業態が「受託」だったのも大きいという。
 
「自身でプロダクトをつくって売る、という副業もアリだと思います。ただ、かける時間や費用も大きいでしょうし、『回収できるか』という不安や悩みも増大すると思います。一方、受託であればお金の流れも、お客さんも見えやすいので初めて副業をする人であっても『攻めやすい』から一念発起できたのだと考えています。だから私は、副業をするのであれば『個人事業主×受託』で攻めるべきだと思うんですよ」
 

まとめ

副業を始める目的や方法、希望の収入などは個人によって異なるが、生涯収入を上げるためにはしっかりと計画的かつ本業と同じような観点をもって臨む必要性はあるのではないだろうか。
 

出典

株式会社ライボ 2023年 副業・兼業の実態調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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