更新日: 2023.04.29 働き方
電話のクレーム対応で残業確定…。上司から「サビ残でしょ?」の一言。残業代を請求していいのはどんなとき?
こういった場合、会社に残業代を請求することは許されないのでしょうか。残業代を請求してもよい場合はどんな場合なのか確認していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
原則定時後も業務をしたら残業代の申請ができる
原則、定時後の業務は残業扱いとなります。残業をした以上たとえ1分であろうとその分の残業代を請求できることになります。残業時間が数分など短時間であれば残業代は出ない旨を主張されることもありますがそれは法的には間違いです。
法律に準じて解釈するのであれば、電話のクレーム対応で残業をすればたとえ数分程度の短時間であっても残業であり、残業代を請求できることになります。また、会社によっては「クレームの電話対応は残業にならない」と定められていることもあるようですがそれは法律上有効なルールではありません。
クレーム電話であろうと事務処理であろうと定時を越えて業務をすれば、それは基本的に残業代の発生する残業となるのです。
残業代を請求してもよいのはどんなとき?
基本的に1分でも残業をすれば残業代を請求してもよいことになっています。例えば次のような事例が該当します。
●電話対応やクレーム対応を定時後も行った
●急きょ依頼された書類整理の業務を定時後も行った
●会議が定時後に行われた
●店舗の閉店後に閉店作業を行った
●通常業務を定時後も行った
要は定時後も業務を行えばそれは基本的に残業代の発生する残業であり、会社に残業代を請求してもよいのです。
例外的に残業をしても残業代が払われないこともある
サービス残業とはまた意味合いが異なりますが、例外的に残業代が支払われないこともあります。例えば、勝手に会社の指示に反して残業した場合です。上司が「顧客への電話対応は明日でいいから」と指示したにもかかわらず、それに反して自己判断で電話を続け残業をした場合は残業代の申請が認められない可能性もあります。
他にもフレックスタイム制が採用されている場合は残業をしても残業として認められないこともあります。フレックスタイム制の場合、残業時間は1ヶ月単位など会社の所定の期間で集計された労働時間によって決まります。そのため、1日だけ残業をしてもその他の日において労働時間が短かった結果、残業代が支給されないこともあります。
いずれにせよ上司が残業代について認めてくれない場合はその理由を確認してみてください。理由が分かれば納得のいくこともあります。
残業代をどうしても認めてくれないときはどうする?
残業をしても上司はもちろん会社が常にサービス残業扱いし残業代の支給をしてくれないというときは、勤務先の所在地を管轄する労働基準監督署に相談することが有効です。今の状況に沿った適切なアドバイスを得られたり、場合によっては会社に注意や勧告などの対応をしてくれたりすることもあります。
労働基準監督署は匿名での相談も受け付けています。絶対ではありませんが自分が相談したことが極力バレないような形で相談できることもあります。他にも、お金がかかりますが社労士や弁護士といった労働問題の専門家に相談することが有効な場合があります。
なお、残業代は3年で時効となり請求できなくなります。残業代を請求するならば早めに対応することをおすすめいたします。
残業をしたらその分残業代を請求できるのが基本
サービス残業は法律上認められておらず、残業をしたらクレーム電話の対応であってもその分残業代は支給されるのが原則です。しかし、指示に反する残業など例外的に残業代の支給が認められないこともあります。
残業代やサービス残業に悩むときは、早めに労働基準監督署や弁護士、社労士といった機関や専門家へ相談してみてください。残業代について会社から適正な運用をしてもらえる可能性があります。
執筆者:柘植輝
行政書士