更新日: 2023.04.28 働き方

【固定残業は月45時間まで?】可能な範囲と違法となるケースを紹介

【固定残業は月45時間まで?】可能な範囲と違法となるケースを紹介
求人票や募集要項で固定残業代を含めた給与を見かけたことはありませんか?
 
固定残業制とは、一定時間分の時間外労働、深夜や休日の労働に対して定額で支払われる、割増された賃金のことです。2018年に労働基準法が改正され、時間外労働に罰則付きの上限が設けられることになりました。残業時間の上限は、原則として「月に45時間まで」と決められています。
 
本記事では、月に45時間を超えても可能な範囲と違法となるケースをご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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残業するには『36協定』が必要

「36協定」という単語を聞いたことはありますか? 36協定とは、残業するために、会社側と労働者が結ばなければならない協定です。
 
労働基準法では、労働時間は原則として1日8時間、1週40時間以内と決められています。決められた時間を超えて残業する場合には、労働基準法第36条に基づいた36協定の締結に加え、所轄労働基準監督所長への届出が必要となります。
 
36協定で定める時間外労働に罰則付きの上限が設けられ、上限は月45時間、年360時間となりました。臨時的な特別な事情があるときには、上限を超えることができます。月45時間を超えることができるのは、1年のうち6ヶ月までとされています。
 
他にも、臨時的な特別の事情があり、企業側と労働者側が合意をしていても、次を超えることは許されません。
 

●年間720時間
●複数月の平均80時間(休日労働含む)
●月100時間(休日労働含む)

 
月だけでなく、年間や複数の月を通して見ることも必要になります。
 

残業が月45時間以上でも可能なケース

36協定で、時間外労働の上限は月45時間と設定されましたが、臨時的な特別な事情があれば超えてもいいとされています。残業する必要がある場合には、業務内容をできる限り具体的に定めるよう、決められています。
 
臨時的な特別な事情と認められるものは、予算・決算業務、大きなクレームへの対応、機械トラブルへの対応、ボーナス商戦に伴った業務の繁忙、納期のひっ迫が挙げられます。
 
上限である月45時間は、あくまで時間外労働の限度時間であり、休日労働の時間は含まれていません。休日労働とは、法定休日(1週1日、4週4日)に労働した時間のことです。1ヶ月の上限は100時間未満と決められており、55時間までは、休日労働も可能となります。
 

残業が違法となるケース

残業が違法となるケースを詳しく見ていきましょう。派遣や単発のアルバイトなど、1ヶ月未満と短い期間で働く場合、図表1が目安時間となります。
 
図表1
 

労働期間 目安時間
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間

 
厚生労働省 36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針を基に作成
 
表にある時間を超えた残業をさせられた場合には、違法となります。
 
また、長期間働いている場合、次の4つのケースが違反となります。
 
(1) 時間外労働が月45時間を超えた回数が、年間で7回以上となった場合
月45時間を超えて残業できるのは、年6回までのため、図表2のように7回を超えると違反となります。
 
図表2
 

 
厚生労働省 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説を基に作成
 
(2)1ヶ月で時間外労働と休日労働の合計が100時間以上となった場合
 
臨時的な特別の事情があっても、1ヶ月の上限は100時間と決まっているため、図表3のように100時間を超えれば違反となります。
 
図表3
 

 
厚生労働省 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説を基に作成
 
(3)時間外労働+休日労働の合計の2~6ヶ月平均のいずれかが80時間を超えた場合
 
図表4のように、3ヶ月平均で80時間を超える場合は違反となります。
 
図表4
 

 
厚生労働省 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説を基に作成
 
(4)36協定で定めた時間を超えた場合
 
36協定では、1日・1ヶ月・1年について時間外労働の上限を決める必要があります。定められた上限を超えた場合には、違反となります。
 
月45時間を超えて働けるのは、臨時的な特別な事情があるときのみです。仕事の内容をできる限り具体的に定めるよう決められています。「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」など、一定の長時間労働を強いる可能性があるものは認められません。
 

違法の可能性があるときは相談しましょう

違反していたとしても、企業に直接訴えるのは立場もあり難しいかと思います。残業に関する相談ができる窓口をご紹介します。
 

・厚生労働省 労働条件相談「ほっとライン」

専門知識を持った相談員が、法律や裁判例を踏まえ、相談に乗ってくれます。各関係機関の紹介もあるため、相談先に迷ったら一度相談してみるのがいいでしょう。匿名で相談でき、通話料は無料です。
 

・総合労働相談コーナー

各都道府県の労働局や全国の労働基準監督署内など、379ヶ所に設置されています。もし、労働基準法の法律に違反の疑いがある場合には、行政指導の権限を持つ担当部署に取り次ぎます。希望する場合には、裁判所、地方公共団体、法テラスといった紛争解決機関の情報提供もあります。
 

まとめ

残業は、36協定を結んでいなければできません。臨時的な特別な事情がある場合には、月45時間を超えた残業も可能となっています。36協定で具体的な業務内容が明示されているか、上限時間は法律の範囲内か、確認するようにしましょう。
 
会社に不満を抱いていては、仕事にも集中できなくなります。違和感を覚えたり、疑問を感じたりしたときには、ひとりで抱え込まず、相談するようにしましょう。
 

出典

厚生労働省 若者の募集・求人の申込みをお考えの事業主の皆さまへ 職業紹介事業者の皆さまへ

厚生労働省 36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針

厚生労働省 時間外労働の限度に関する基準

厚生労働省 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説

厚生労働省 労働条件相談「ほっとライン」

総合労働相談コーナーのご案内

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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