更新日: 2023.04.13 働き方

20時間分の「残業代」が出ない…違法じゃない場合もあるって本当ですか?

20時間分の「残業代」が出ない…違法じゃない場合もあるって本当ですか?
従業員は企業が定めた所定内労働時間を超えて働くと「残業」している状態になり、原則労働基準法が定めた法定労働時間を超えると残業代を払わなければなりません。ただし、「残業したのに残業代が出ない」とトラブルになるケースも少なくありません。
 
もし、「20時間残業したはずなのに残業代が出ない!」という状況に巻き込まれたらどのようにすればいいのでしょうか。違法なのか、そうではないのかも含めて考えてみましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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「残業代が出ない=違法」とは限らない

労働基準法では、使用者は原則従業員に対して「1日8時間、1週間40時間を超えて労働させてはいけない」と定めています。
 
ただし、労働者の過半数で構成する労働組合等との労使協定で時間外や休日労働の取り決めを行い、労働基準監督署に届け出た場合は、法定労働時間を超えて労働させることが可能です。時間外労働は労働基準法36条に規定があるため、一般的に「36(さぶろく)協定」と呼ばれています。
 

●始業:9時
●終業:18時
●休憩:1時間
●労働時間:8時間(1ヶ月当たり160時間)
●勤務日:月曜~金曜日
●休日:土日祝日の完全週休2日制

 
上記の場合に18時を過ぎて労働すると「残業している」とみなされます。仮に毎日19時まで働くと、20時間残業したことになります。
 
残業すると基本給とは別で残業代が支払われます。残業代は基本的に「1時間当たりの賃金額×残業時間×残業の種類に応じた割増賃金率」で計算され、1時間当たりの賃金額は「月給÷1ヶ月当たりの所定労働時間」で求めることができます。
 
ただし、雇用形態によっては残業代が出ないこともあります。
 
例えば、毎日会社に通勤せず、取引先などに直行直帰することが多い場合、使用者側で明確に労働時間を把握することは難しいです。そのため「裁量労働」といって、あらかじめ定められた時間を労働時間とみなすこともできます。このような場合は、実際の労働時間が長くなっても残業代が出ないこともあります。
 

どんな可能性がある?

その他にも残業代が出ないケースがあります。
 
勤務先で「固定残業制」が導入されていないか確認してみましょう。あらかじめ給料の中に固定残業時間が含まれている可能性があるからです。
 
例えば、月収30万円(時間外労働30時間分を含む)といった内容になっていると、20時間残業しても、追加で残業代は出ません。30時間を超えた分から追加で支給されます。
 
本来、固定残業制を採用する場合は求人票や雇用契約書等に次のような形で記載する必要があります。
 

1.基本給:20万円
2.固定残業手当:10万円(時間外労働の有無にかかわらず、45時間分の時間外手当として支給)
3.45時間を超える時間外労働分についての割増賃金は追加で支給

 
ただし、基本給と残業代をはっきり分けずに記載されているケースも多く、表面的な金額に惹かれて入社したら思ったより基本給が低くてびっくりすることもあります。
 

おかしいと思ったらまず就業規則を確認

本記事では、残業代が出ない場合はどのようにすればいいのか解説しました。おかしいと思ったらまず勤務先の就業規則や雇用契約書を確認し、分からない場合は人事や総務関係の部署に相談しましょう。
 
思わぬトラブルを防止するためにも、いきなり「残業しているのに残業代が支給されていない!」と言うのではなく「就業規則の確認をしたいので教えてください」と質問することをおすすめします。
 

出典

厚生労働省 労働基準法

厚生労働省 労働時間・休日

厚生労働省 固定残業代の適切な表示方法

厚生労働省 委託事業「労働条件相談ほっとらいん」パンフレット

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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