更新日: 2023.03.08 働き方
「教師は公務員で安泰」は本当? 残業代がつかなくて「長時間労働」になりがち? 給与や働き方を確認
ここでは、公立学校の教師の平均給与や働き方について、くわしく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公立の教職員の年収は高い
「地方公務員給与実態調査結果」によると、2021年4月時点での、小・中学校(幼稚園)教育職の給与(諸手当を含む)は月額40万9427円、ボーナス(期末手当と勤勉手当の合計)は174万3521円、ここから年収は665万6645円と計算できます。また、高等学校教育職の給与は月額43万4149円、ボーナスは182万7164円、年収は703万6952円となります。
ちなみに、一般行政職の給与が月額40万2948円、ボーナスが159万7394円であることを考えると、教育職の公務員はそれよりも年収が高くなります。
私立の学校は、民間企業同様、学校ごとに決められていますが、公立の学校よりもやや高いといわれています。ただし、学校や地域によるところが大きく、中には公立の教職員と同程度かそれよりも低くなる場合もあります。
なお、2021年分の「民間給与実態統計調査」によると、民間企業の平均年収は約433万円、また、私立学校の教師を含む学術研究、専門・技術サービス業、教育、学習支援業の平均年収は399万9000円でした。教育に携わる人の中では、公立学校の教職員の給料は高いといえるでしょう。
公立はフルタイムで働く女性教職員が多い
教師の数という点でも、公立の教職員のほうが人数は多いです。小学校の教職員47万4068人のうち、公立小学校に勤める教職員は46万4697人と、その割合は98%に上ります。
中学校でも、教職員全体が29万4700人なのに対し、公立中学校の教職員は26万1436人と、88.7%を占めています。高等学校では公立の教職員の割合は67%となりますが、公立の教職員のほうが私立よりも多いのです。
また、公立中学校と私立中学校で、フルタイムで働く職員とパートタイムで働く職員をみると、公立中学校の教職員の88.4%はフルタイムの職員なのに対し、私立中学校はフルタイムの職員が50.4%にとどまり、半数近くがパートタイムという結果になりました。
女性のフルタイムの職員に限ってみると、公立中学校は44.5%なのに対し、私立中学校は38.9%にとどまりました。公立学校のほうが、女性がフルタイムで働きやすい環境といえるでしょう。
さらに、教育職の地方公務員の場合、2020年度は定年退職した人が2万7840人なのに対し、普通退職(在職期間の通算を伴う退職等を除く)は6861人にとどまり、離職率も低いことがわかります。
なお、普通退職者の年齢をみると、その7割は20代・30代で、40代を超えると普通退職者の数が大きく減ります。そのため、40歳を超えればほとんどの人が定年まで勤めることになるため、「安泰」といってよいでしょう。
残業代や時間外手当がなく長時間労働の悩みも
しかし、公立学校の教職員は多忙で、「働き方改革」が必要だといわれています。これは公立学校に限った話ですが、公立の教職員は「教職調整額」を支払う代わりに残業代や時間外手当が出ないということが、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」という法律で決められています。
特に中学校では、教務のほかに、部活動の指導や引率を教師がすることも多く、長時間労働がたびたび問題になってきました。教職員の働き方改革の意味で、部活動の地域移行が進められているところもありますが、指導員確保や予算の面で別の問題も出てきています。
公立の教職員は、高い年収や安定した仕事という意味では「安泰」といえますが、働き続けるのは決して楽ではないのです。
公立の教師は安泰だが激務
公立の教師の給与水準は、民間企業に勤める人の平均はもちろんのこと、一般行政職の公務員よりも高くなっています。途中で離職する割合も低く、女性がフルタイムで働きやすい環境です。
その一方で、残業代や時間外手当がつかず、長時間労働になりやすいなどの問題点も指摘されています。続けやすい仕事ではありますが、必ずしも楽をして働き続けられる仕事ではありません。
出典
総務省 令和3年4月1日地方公務員給与実態調査結果 第5表 職種別職員の平均給与額
総務省 地方公務員数の状況
総務省 令和2年度 地方公務員の退職状況等調査
国税庁 令和3年分民間給与実態統計調査
e-Gov法令検索 公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法
スポーツ庁 学校部活動及び新たな地域クラブ活動の在り方等に関する総合的なガイドライン(令和4年12月)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部