更新日: 2023.02.16 働き方

雇用保険で給付される教育訓練給付。どのような給付なの?

雇用保険で給付される教育訓練給付。どのような給付なの?
会社員の方であれば毎月の給与から支払っている「雇用保険」。少額ですし、あまり気にしたことがない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、雇用保険の給付は失業したときだけでなく、教育訓練給付、育児休業給付、介護休業給付等があります。
 
今回は雇用保険の給付の中で教育訓練給付について見ていきます。
田久保誠

執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)

田久保誠行政書士事務所代表

特定行政書士、CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士相談センターの相談員として、相続等の相談業務や会社設立、許認可申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

雇用保険とは、どのような人が加入できるの? 保険料は?

雇用保険とは、労働者が失業したときや、教育訓練を受けたときに給付する保険で、一定の条件を満たしたすべての労働者が対象です。よって、労働者ではない会社役員や個人事業主は原則雇用保険には加入できません。保険者は国で実際の窓口は公共職業安定所です。
 
保険料は事業主と労働者の双方が負担し、その負担割合は令和4年10月~令和5年3月31日の保険料は図表1のとおりです。
 
【図表1】

 
ちなみに、一般の事業を例に見ますと、令和3年度の負担率は労働者3/1000、事業主6/1000でしたので負担率は上昇しています。
 

教育訓練給付とは、どのような場合に給付されるの?

教育訓練給付制度とは、働いている人たちの主体的な能力を開発、そしてキャリアの形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的としています。厚生労働大臣が指定している教育訓練が修了した時に、受講費用の一部が支給されます。教育訓練給付制度の概要は図表2のとおりです。
 
【図表2】

(出典:厚生労働省「教育訓練給付制度」)
 

教育訓練の種類にはどのような種類があるの?

給付金の対象となる教育訓練は、そのレベル等に応じて、

(1) 専門実践教育訓練
(2) 特定一般教育訓練
(3) 一般教育訓練

の3種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。
 

(1) 専門実践教育訓練

特に労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象です。
支給対象者は、

●受講開始日現在で雇用保険の支給要件期間が3年以上あること
●受講開始日時点で被保険者でない場合は、被保険者資格を喪失した日以降、受講開始日までが1年以内であること
●前回の教育訓練給付金受給から今回の受講開始日前までに3年以上経過していること

など、一定要件を満たしている雇用保険の被保険者、または離職者が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合です。
 
支給額は、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の50%に相当する額です。ただし、その額が1年間で40万円を超える場合の支給額は40万円です。専門実践教育訓練の受講修了後、定められている資格等を取得して、被保険者として雇用された方(受講が修了した日の翌日から1年以内)、またはすでに雇用されている方に対しては、教育訓練経費の20%に相当する額を追加して支給します。
 

(2) 特定一般教育訓練

特に労働者の速やかな再就職、および早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象です。
支給対象者は、

●受講開始日現在で雇用保険の支給要件期間が3年以上あること
●受講開始日時点で被保険者でない方は、離職日の翌日以降、受講開始日までが1年以内であること
●前回の教育訓練給付金受給から今回受講開始日前までに3年以上経過していること

など、一定要件を満たしている雇用保険の被保険者、または離職者が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し修了した場合です。
 
支給額は、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の40%に相当する額です。ただし、その額が20万円を超える場合は20万円です。
 

(3) 一般教育訓練

その他の雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練が対象です。
 
支給対象者は、特定一般教育訓練と同じです。支給額は、教育訓練施設に支払った教育訓練経費の20%に相当する額です。ただし、その額が10万円を超える場合は10万円です。
 

政府も後押ししている

政府もデジタル分野などの成長産業へのリスキリングを後押しする政策を進めるようです。学び直すことに遅いということはありません。今年はもう一度学び直ししてみてはいかがでしょうか。
 

出典

厚生労働省 令和4年度雇用保険料率のご案内
厚生労働省 教育訓練給付制度
ハローワーク インターネットサービス 教育訓練給付制度
 
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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