更新日: 2023.02.14 働き方

「残業65時間」でも残業代は固定で「5万5000円」…時給だと「846円」だけどこれって妥当?

「残業65時間」でも残業代は固定で「5万5000円」…時給だと「846円」だけどこれって妥当?
長時間の残業をしているのに「残業代が固定されているから納得できない」という会社員もいるでしょう。例えば、月間65時間の残業をしたにもかかわらず、「固定残業代」として5万5000円しか支払われないのは妥当なのでしょうか。
 
この記事では、固定残業代とは何なのか概要を説明し、月間65時間の残業でも5万5000円の残業代が妥当なのかを解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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固定残業とは

固定残業とは「みなし残業」とも呼ばれており、毎月固定で支払われる残業代です。全ての企業に固定残業制度を導入する義務があるわけではなく、企業の裁量によって定められています。
 
一般的には所定労働時間外に業務した分のみが残業代として支払われますが、固定残業代を導入している企業では、あらかじめ決まった残業代を含めて給料が支払われます。
 
企業が固定残業代を導入していることは、「就業規則」に明記して「従業員に周知」しなければなりません。また「残業の◯◯時間分に対する手当として◯万円を支払う」と、金額の根拠を明らかにしておく必要があります。
 

 

固定残業の金額の根拠とは

固定残業における時間単価の下限は企業が決められるものではなく、各都道府県の「最低賃金」と「労働基準法」の時間外割増率に沿った内容でなければなりません。そのため、「固定残業代の時間単価が最低賃金を下回っていることはあり得ない」と考えておきましょう。
 
例えば、東京都の最低賃金は2023年2月現在で1072円です。一週間で法定労働時間の40時間を超えた分の時間は25%以上割り増しして支払う必要があります。
 
「1072円×1.25%」で、最低でも固定残業代の時間単価は「1340円」でなければなりません。さらに、月間の残業時間が60時間を超えた場合は、50%以上の割り増し(中小企業は2023年4月から)が必要です。
 
また、固定残業があるからといって、固定残業代を超えた残業分の手当が支払われないわけではありません。固定残業代を超えた労働時間分のお金は、労働基準法により企業に支払い義務があります。
 

残業65時間で固定残業代5万5000円は妥当ではない

前章を踏まえると「残業65時間で固定残業代5万5000円だった」は妥当ではありません。単純に計算すると、時給846円で残業をしていることなるため、会社に不足分の残業代を請求することができます。東京都の最低賃金で計算した残業代の最低時間単価は「1340円」です。
 
平日に65時間の残業をした場合、60時間までは25%、61時間目からは50%割り増ししなければなりません。単純に計算しても60時間までで8万400円、61~65時間までで8040円になり、あわせて8万8440円です。
 
そのため、残業65時間で固定残業代5万5000円だった場合は最低でも3万3440円不足しているため、「妥当ではない」金額といえます。
 
ここまでの計算はあくまでも最低時間単価での計算なので、しっかり確認するなら固定残業5万5000円は就業規則で何時間分の手当なのかを調べてみましょう。1時間当たりの賃金がわかれば、正確な不足分を計算できます。
 
また、残業代の単価自体が最低賃金を下回っていないかの確認も重要です。
 

固定残業で損をしないように毎月チェックしましょう

固定残業代の場合、残業代が妥当に支払われていない可能性もあります。固定残業を導入している企業では固定費として毎月支払われるので、特に気にしない会社員も多いでしょう。
 
ただ、残業が多い人では、固定残業代以外にも残業代が発生しているケースもあります。残業時間の割に給料が少ないと感じるなら、最低賃金や割増率などを参考にチェックしてみましょう。
 

出典

厚生労働省 改正労働基準法
東京労働局 しっかりマスター労働基準法
厚生労働省 令和4年度地域別最低賃金改定状況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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