更新日: 2023.01.12 その他家計

【全国加重平均額961円】過去最大の引き上げ!「最低賃金制度」とは? 対象になる賃金を確認

【全国加重平均額961円】過去最大の引き上げ!「最低賃金制度」とは? 対象になる賃金を確認
2022年10月改定の地域別最低賃金は、前年度から平均31円増加で過去最大の引き上げ幅となり、全国加重平均額で961円となりました。
賃金を受 け取る労働者の立場からすれば、最低賃金の上昇は望ましいことではありますが、賃金を支払う使用者側にとっては、資金繰りなどにも直結する重要な課題といえるでしょう。ここでは最低賃金制度の概要や、その推移などについて確認してみたいと思います。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

最低賃金制度とは

最低賃金制度とは、国が最低賃金法に基づいて、使用者が支払わなくてはならない最低賃金を定める制度です。
 
仮に、使用者と労働者の双方が最低賃金額より低い賃金で合意していたとしても、それは無効とされ、最低賃金と同額と定めたものとされます。また、使用者が最低賃金額より少ない賃金しか支給しなかった場合は、最低賃金との差額を支払わなくてはならず、違反に対して50万円以下の罰則なども定められています。
 
最低賃金には、地域別最低賃金と特定最低賃金の2種類がありますが、私たちが日ごろよく目にするのは、都道府県別に定められる地域別最低賃金です。これは、パートタイマーやアルバイト、嘱託などの雇用形態や職種、産業にかかわらず、その都道府県内の事業所に勤務するすべての労働者と使用者に適用されます。
 
また、派遣労働者の場合は、派遣先の都道府県の最低賃金が適用されることになっています。
 
例えば、派遣元の群馬県の会社から派遣された労働者が、派遣先の東京都内の事業所で勤務する場合には、東京都における最低賃金が適用されます。
 
一方、特定最低賃金とは、特定の産業について設定された最低賃金のことで、令和3年3月末時点では全国で227件の産業で定められています。
 

最低賃金の対象となる賃金は

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金とされています。そのため、以下に該当するものは対象から除外されます。
 

(1)臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
(2)賞与など1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金
(3)所定外給与(超過労働給与)の時間外割増賃金、休日割増賃金、深夜割増賃金
(4)諸手当のうち、精皆勤手当、通勤手当、家族手当など

 
実際に支払われる賃金が地域別最低賃金以上となっているかは、対象となる賃金の所定労働日数、労働時間に基づく1時間当たりの金額が、図表1の地域別最低賃金額(時間額)以上か比較して確認することになります。
 
図表1 地域別最低賃金額(時間額)
 

 
※厚生労働省 「地域別最低賃金全国一覧」より筆者作成
 
令和4年度の都道府県別の最低賃金額は、最高額が東京都の1072円で、最低額は青森県、沖縄県など10県の853円となっており、その差は実に219円もあります。また、全国平均では令和3年度から31円の引き上げとなっており、これは過去最大の上昇となりました。
 
さらに、過去の都道府県別の労働者数などを勘案して算出された全国加重平均額の推移も毎年上昇を続けており、図表2のとおり平成25年(2013年)の764円から令和4年(2022年)の961円と、過去10年間で197円も上昇しています。
 
図表2 年度別全国加重平均最低賃金額(過去10年)
 

 
※厚生労働省 「地域別最低賃金全国一覧」より筆者作成
 

まとめ

最低賃金制度は、パートタイマーやアルバイトなどを含む、すべての労働者に適用されるものです。賃金に対して疑問や不満がある場合は、まず自身の時間額を確認してみましょう。
 
また、中小企業・小規模事業者を対象に、生産性向上を図るための設備投資によって最低賃金の引き上げを支援する業務改善助成金などの制度も用意されています。
 

出典

厚生労働省 必ずチェック 最低賃金

厚生労働省 地域別最低賃金全国一覧

 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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