更新日: 2022.10.20 働き方
【2023年4月から!】残業代の「割増率」が50%に!自分が当てはまるか確認しよう
具体的にどういうことなのか、また自分の職場が当てはまるのかを早めに確認しておきたい方もいることでしょう。
そこで本記事では、今までとの違いや対象となる企業の規模などについて詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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2023年4月からの変更点のポイント
長時間労働の抑制などを目的に、社員が時間外労働をした際には、企業は通常の賃金に一定の割増賃金率を上乗せして支払う必要があります。1ヶ月の時間外労働(1日8時間・1週40時間)について、60時間以下の場合は大企業・中小企業ともに25%です。
しかし、60時間を超える際の割増賃金率については、2023年4月から一部変更となるため注意が必要です。具体的には、2023年3月31日までは大企業では50%、中小企業は25%と差がある状態が続きますが、2023年4月1日からは中小企業においても50%に引き上げられます(図表1)。
【図表1】
厚生労働省・中小企業庁 「中小企業の事業主の皆さまへ2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」より引用
・深夜労働や休日労働との関係
月60時間を超える時間外労働を深夜(22時から5時まで)に行わせる場合には、深夜割増賃金率の25%が加算されるため、合計で75%の割増率となります。月60時間の時間外労働の算定には、法定休日労働の時間は含まれません。法定休日労働の割増賃金率は35%で計算します。
・代替休暇での対応
1ヶ月の時間外労働が60時間を超えた社員に対しては、健康確保の観点から、引き上げ分の割増賃金を支払う代わりに有給の休暇を付与することも可能です。
・管理監督者への対応
管理監督者への対応には変更はありません。今まで通り時間外労働と休日労働に対する手当は不要であり、深夜労働については割増賃金を支払う必要があります。
対象となる中小企業の条件
厚生労働省では、今回の変更の対象となる中小企業について、「1.資本金の額(または出資の総額)」、「2.常時使用する労働者数」、という2つの基準を設けており、いずれかを満たす場合に中小企業に該当します(図表2)。
それぞれの規模は業種によっても異なります。「小売業」の場合、1については5000万円以下、2については50人以下です。「サービス業」も1は5000万円以下ですが、2は100人以下です。「卸売業」では1は1億円以下、2については100人以下となります。「その他の業種」については、1は3億円以下、2については300人以下と定められています。
自分の勤め先が当てはまるかどうかはこちらの基準でチェックしましょう。
【図表2】
厚生労働省・中小企業庁 「中小企業の事業主の皆さまへ2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」より引用
時間外労働の上限の前提
今回の変更に併せて理解しておかなければならないのは、2020年4月より中小企業も含めて時間外労働には原則として月45時間、年間360時間の上限が設けられている点です。
月45時間を超える残業には臨時的な特別の事情が必要であり、割増賃金を払えば無制限で労働させてよくなるわけではありません。
就業規則の記載内容の変更点もチェック
月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引き上げに合わせて、就業規則の記載内容も変更されるはずです。詳細については就業規則などでもよく確認しておきましょう。
ただし、述べたように時間外労働の上限が撤廃されるわけではなく、基本的には月45時間を超えない範囲で業務をさせることがすべての企業に義務付けられています。そもそも自分の会社がこのルールを守っているかも気にしておくことが大事です。
出典
厚生労働省 2023年4月1日から月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます
東京労働局 しっかりマスター労働基準法 割増賃金編
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部