更新日: 2024.10.07 ライフプラン
扶養を外れていることがあとからバレた場合、どういうことになる?
先日、筆者の家計相談にきた人が深刻そうにこう切り出しました。話を伺ったところ、たしかに働いている一つ一つの会社では扶養内の金額でしたが、2つを合わせたら年収は150万円程度と、すでに扶養を外れてしまう金額だったのです。
扶養を外れているのにもかかわらず、扶養に入ったままにしておくとどういうことが起こるでしょうか。
執筆者:塚越菜々子(つかごし ななこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催
お金を貯める努力をするのではなく『お金が貯まる仕組み』づくりのサポート。保険や金融商品の販売を一切せず、働くママの家計に特化した相談業務を行っている。「お金だけを理由に、ママが自分の夢をあきらめることのない社会」の実現に向け、難しい知識ではなく、身近なお金のことをわかりやすく解説。税理士事務所出身の経験を活かし、ママ起業家の税務や経理についても支援している。
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夫の会社に税務署からおたずねの書類が届く
夫側は勤めている会社の年末調整で「妻を扶養しています」と申告して、税金が少し安くなっています。ですが、実際は妻が扶養に該当しないほどの収入があった場合、夫の申告は事実ではなくなります。
税務署でそれがわかると、夫が勤める会社宛てに「扶養控除等の見直しについて」と記載された通知が行きます。
「あなたの会社の従業員の〇〇さんが妻を扶養していると申告していますが、誤りではないですか?」という趣旨の文章です。
誤りではないですか? と書いてはあるものの、実際に間違っている事実を確認してから送付してくることがほとんどです。最大3年ほどさかのぼって確認が行われます。
事実の確認が行われ、結果しだいで追加納税する
会社はこの通知が届くと、従業員に事実の確認をします。確認の方法は会社しだいですが、最大3年分さかのぼって妻の所得証明・確定申告書・給与明細などのコピー提出を求められることが多いです。
(ほとんどの場合が)実際に扶養から外れているので、年末調整のやり直しというような形を取り、再計算を行います。本来納めるべき税金より少なくしか納めていないわけですから、不足分をまとめて納税することになります。
給与から差し引くなどして会社にお金を払い、会社が税務署に納税するというステップです。
今回の相談ケースでは、年末調整を行うときに夫婦間でどういう話し合いがあったかはわかりませんが、夫は妻が扶養に入っていると思っていた場合は、このタイミングでトラブルになることが考えられます。
会社側としては、多少の手続きの手間は当然発生しますが、よほど度重なったりしない限り処理が終わればそれでおしまいです。
ですが夫のほうは、会社から呼ばれて間違いを指摘されて、追加でお金がとられるわけですから、ネガティブに受け取る人も多いのではないでしょうか。
社会保険の扶養からも外れる
税法上の扶養とは違いますが、社会保険上の扶養の条件からも外れていれば当然そちらも手続きが行われます。いつまでさかのぼり、いつから外れるかは組合(運営団体)の判断になります。
いわゆる社会保険の扶養は主に「健康保険」と「年金」に分かれています。扶養から外れた期間については、自分自身がパート先で社会保険に加入することができなければ、国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。
例えば150万円の収入があると、筆者の自治体の場合だと国民健康保険が1年間で約9万円。国民年金が20万円弱かかります。合わせて30万円近い支払いが発生することになります。
また、さかのぼって扶養を外れた場合、その期間に健康保険証を使い病院にかかっていると、健保が負担した分の医療費を返還する必要がでてきます。
適正に扶養を外れていればそもそも支払っている金額ですので、決して「とられた」という趣旨ではないですが、やはり一度に多額の請求が来ると負担に感じてしまうかもしれません。
扶養関係がある場合はお互いに意思の疎通を
今回、相談にきた人は自分がすでに扶養を外れてしまっていることを認識していませんでした。2カ所で年末調整を行ってしまっていたため、速やかに確定申告をして適正な納税をする必要があることをお伝えしました。
そしてそうなると、扶養で申告しているご主人の年末調整も修正が必要になってきます。社会保険等の手続きも必要になってくるはずです。
扶養関係がある場合は、そもそもその都度状況の確認を避けて通ることはできません。外から指摘される前にまず夫婦で話し合いをして、手続きを進めてもらうようにお伝えしました。
Text:塚越 菜々子(つかごし ななこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
お金の不安を賢く手放す!/働くママのお金の教養講座/『ママスマ・マネープログラム』主催