更新日: 2022.09.27 働き方
「4月~6月の残業を抑えると社会保険料が安くなる」はウソ?【随時改定】について解説!
本記事では、社会保険料の決まり方と社会保険料を減らす方法をはじめ、よく質問される「随時改定」についても解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
会社員負担の社会保険は3種類
会社員が負担している社会保険は以下の3種類です。
●健康保険(40歳以上の方は介護保険を含む)
●厚生年金保険
●雇用保険
「健康保険」には病院窓口での支払負担額の減少、「厚生年金保険」には老後の年金受取、「雇用保険」には失業時の給付金受取と、それぞれ生活を支える役割が主にあります。
健康保険料と厚生年金保険料は4月~6月の給与で決まる
毎月の健康保険料(40歳以上は介護保険料を含む)と厚生年金保険料は、「標準報酬月額」に応じて決まります。
標準報酬月額とは、「4月~6月の額面給与の平均額」です。上限はありますが、基本的に標準報酬月額が高くなるほど、保険料も高くなります。
原則、「標準報酬月額」を基に決定した保険料は、9月から1年間継続して適用されることになります。
4月~6月の残業を減らすと、社会保険料が安くなる
4月~6月の給与を安くすれば、「標準報酬月額」が低くなり、9月からの健康保険料・厚生年金保険料も安くなります。では、4月~6月の給与を安くするにはどうすればいいのでしょうか? 答えは、残業を少なくして、「残業代を減らすこと」です。
東京都における全国健康保険協会の標準報酬月額ごとの月額保険料は図表1の通りです。40歳未満の方の保険料を記載します。
図表1
(標準)報酬月額 | 健康保険料(従業員負担) | 厚生年金保険料(従業員負担) |
---|---|---|
21万円~23万円 | 1万791円 | 2万130円 |
25万円~27万円 | 1万2753円 | 2万3790円 |
29万円~31万円 | 1万4715円 | 2万7450円 |
全国健康保険協会「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表を基に作成
図表1の通り、標準報酬月額により毎月の保険料は大きく異なります。標準報酬月額の計算に、年3回以下で支給される賞与(ボーナス)は含まれません。
随時改定により、社会保険料が変更になることがある
4月~6月の額面給与により決まった「標準報酬月額」は、原則1年間変更されません。ただし、「標準報酬月額」が見直され、健康保険料と厚生年金料が変更になる場合もあります。
これは、「随時改定」という制度です。主に以下2つの要件を満たすと「標準報酬月額」が変更になり、健康保険料と厚生年金保険料が増減します。
1.昇給や降給で固定賃金が変動した
2.給与変動月から3ヶ月間支給された給与の「標準報酬月額」と、現在適用されている「標準報酬月額」に2等級以上の差が生じた
2で記載のある等級は、図表2のように分類されています。
図表2
等級 | 報酬月額 |
---|---|
18 | 21万円~23万円 |
19 | 23万円~25万円 |
20 | 25万円~27万円 |
21 | 27万円~29万円 |
22 | 29万円~31万円 |
全国健康保険協会「令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表を基に作成
今まで19等級が適用されていても、10月~12月に残業を多くして3ヶ月間の「標準報酬月額」が21等級に該当した場合は、「標準報酬月額」の見直しが行われます。
これにより、健康保険料と厚生年金保険料が増額となります。
「4月~6月の残業を抑えると社会保険料が安くなる」は本当でもありウソでもある
解説したように、4月~6月の残業を抑えて「標準報酬月額」を低くすると、社会保険料は安くなります。しかし、その後連続で大幅に給料が上がるようであれば、社会保険料は変更されます。
そのため、4月~6月の残業を極端に減らし、社会保険料を安くすることは得策と言えません。「4月~6月は少し残業を抑えよう」くらいがちょうどいいかもしれません。
出典
日本年金機構 随時改定(月額変更届)
全国健康保険協会 令和4年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表
全国健康保険協会 標準報酬月額の決め方
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部