更新日: 2022.09.26 その他家計
フリーランスとして働く前に「お金」のこと考えてみませんか?
ランサーズ株式会社の「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」によると、2021年10月時点でのフリーランス人口は1577万人となっており、2015年に行った調査の937万人から68.3%(640万人)増加しています。
会社員とは異なる自由な働き方の一方で、フリーランスの場合は「お金」について自分自身でしっかり把握して管理する必要があります。今回は、フリーランスにとって必要な「お金」の問題を解説します。
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー
立命館大学卒業後、13年間大手小売業の販売業務に従事した後、保険会社に転職。1 年間保険会社に勤務後、保険代理店に6 年間勤務。
その後、コンサルティング料だけで活動している独立系ファイナンシャルプランナーと出会い「本当の意味で顧客本位の仕事ができ、大きな価値が提供できる仕事はこれだ」と思い、独立する。
現在は、日本FP協会佐賀支部の副支部長として、消費者向けのイベントや個別相談などで活動している。また、佐賀県金融広報アドバイザーとして消費者トラブルや金融教育など啓発活動にも従事している。」
フリーランスの貯金はいくら必要か?
フリーランとして働く場合にあらかじめ考慮しておきたいのが、取引先によって業務完了後の報酬の入金にタイムラグや遅延が発生する可能性もあることです。
報酬が入金されるまで生活できるように、将来のための貯金のほか、最低生活費の3~6ヶ月分程度は常に確保しておくといいでしょう。
病気やけがで働けなくなった場合の対策は?
健康保険組合などに加入している会社員は、病気やけがで働けなくなり、その間の給与の全額または一部の支払いがない場合、休業中の生活を保障する「傷病手当金」の給付が受けられます。
しかし、フリーランスの方が加入する国民健康保険には原則、この傷病手当金はありません。そのため、自身で万が一の際に備える必要があります。
医療費や生活の保障については民間の保険会社の医療保険、就業不能保険への加入、また休業により事業資金が不足するケースでは、後述する小規模企業共済の加入者が利用できる「傷病災害時貸付け」などでカバーできないか検討しましょう。
フリーランスの年金は?
フリーランスの方は国民年金第1号被保険者となり、公的年金は老後に受け取れる「老齢基礎年金」のほか、一定の障害状態となったときに支給対象となる「障害基礎年金」、死亡時に遺族に支給される「遺族基礎年金」があります(遺族基礎年金は18歳未満の子がいる配偶者または子が対象)。
いずれにしても、厚生年金に加入する会社員と比べて年金額は少なくなるため、それぞれの年金がいくらくらい受給できるか把握し、老後や万が一の備えについて考えておきましょう。
老後の備えに何が必要か?
フリーランスの方の老後に向けた資産形成としては、節税メリットがあるiDeCo(個人型確定拠出年金)や、小規模企業共済への加入などの方法があります。
iDeCoは国民年金第1号被保険者の場合、掛け金は月額5000円から1000円単位で最大6万8000円まで設定できます。国民年金保険料を支払っていることが加入条件となり、掛け金は全額が所得控除の対象です。
小規模企業共済は、個人事業主などが廃業や退職後の生活資金のために積み立てを行う制度です。掛け金は月額1000円から7万円の範囲で、500円単位で自由に設定できるほか、iDeCoと同様に全額所得控除の対象となります。
また、加入者は掛け金の範囲内で事業資金の借り入れも可能です。iDeCoと小規模企業共済は併用できますので、節税メリットを生かして老後資金の確保ができます。
このほかにも手堅く老齢年金を増やす方法として、国民年金保険料に加えて月額400円の付加保険料を支払う付加年金制度があり、将来の老齢基礎年金に「200円×付加保険料納付月数」の付加年金額が上乗せされます。
まとめ
フリーランスは会社員と違って働き方の自由度が高い一方で、収入が安定していない点や、公的保障が十分に受けられないことなどを考慮して、お金の面での対策を練っておく必要があります。
老後への備えはもちろんですが、例えば長期間の療養などにより働けない期間が発生した場合、自身や家族の生活を維持していくことはできるか、しっかりと確認しておくことも重要です。
フリーランスとして働く場合には仕事だけでなく、お金の管理も自分で行う必要があることを覚えておきましょう。
出典
ランサーズ株式会社 『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』発表
独立行政法人 中小企業基盤整備機構 小規模企業共済
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部