更新日: 2021.10.18 ライフプラン
年間の収支が黒字か、赤字かを簡単に知る方法。ライフプラン・キャッシュフロー表のフォローの仕方 その1
ライフプラン・キャッシュフロー表を作ったら、キャッシュフローを守って予定どおりの経済的人生を歩むことができるか、それとも収入が減ったり、支出が増えるなどして、予定変更を余儀なくされるかを正しく知ることが、その後のポイントになります。
キャッシュフロー表は項目が多く、それらを1つ1つフォローしようとすると、大小の出費を細かく管理して記録するなど、大きな手間がかかります。かといって、せっかく作ったキャッシュフロー表のフォローをしなければ、何のために作ったのかが分からなくなります。
この記事では、比較的簡単にライフプラン・キャッシュフロー表のフォローをする方法をご紹介したいと思います。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。
ライフプラン・キャッシュフロー表の構成とそのポイント
ライフプラン・キャッシュフロー表(以下「キャッシュフロー表」)は、いつ子どもが生まれ、いつ家を購入するなど、経済的人生をお金で表したものです。キャッシュフロー表のイメージを理解するためには、まず実際にサンプルを見ることが良いと思います。以下のサンプルをご覧ください。
※筆者作成
上のサンプルの表は31歳から7年間のものですが、一般に就職して収入を得るようになってから、生きている限りは、キャッシュフロー表は続きます。
経済的人生の要素としては、「収入」「支出」および「金融資産の運用損益」が挙げられます。
ファイナンシャルプランナーが作るキャッシュフロー表の項目には、それだけでなく、サンプルでご覧になったように以下のような細分化された項目と、それらをまとめた項目が登場します。「1」と「2」の下が細分化された項目で、「1」から「6」のタイトルが、それらをまとめた項目ということになります。
それでは、キャッシュフロー表の構成について解説します。
1. 収入(A)
●世帯主年収
●配偶者年収
●退職金
●公的年金
●保険金(生存給付金)
●定期収入
●臨時収入
●児童手当
2. 支出(B)
●保険料
●教育費
●住宅費
●日常生活費
●定期支出
●臨時支出
●社会保険料
●所得税・住民税等
3. 年間収支(1)(A-B)
年間収支(1)は、収入-支出でその年の収支を表します。
4. 金融資産の運用損益(C)
●銀行利子
●各種証券(株式・投資信託・債券等)運用損益等
金融資産の運用損益は、銀行利子や株式等の運用損益で、後者はマイナスになることもあります。
5. 年間収支(2)(D=A-B+C)
「収入」-「支出」+「金融資産の運用損益」=「年間収支」(2)(含む金融資産の運用損益)となり、それが年間の金融資産の増減を示し、その年が黒字であるか、赤字であるかを示す指標になります。
6. 金融資産残高
●前年末の金融資産残高(E)
●年間収支(2)(D)
●年末の金融資産残高(F=E+D)
「前年末の金融資産残高」に年間収支(2)を加えると、「年末の金融資産残高」になり、年末にいくら持っているかが分かります。
ファイナンシャルプランナーがキャッシュフロー表を作る際には、顧客の方の希望するライフプランに基づいて、「収入」「支出」「金融資産の運用損益」の項目ごとに条件を決め、数字を算入していきます。
キャッシュフロー表をフォローする目的
キャッシュフロー表をフォローする目的は何でしょうか?
それは、初めに立てた希望するライフプランが実現に向かって進んでいるか、それとも、目標から遠く離れていきそうなのかを確かめ、前者ならば、その後も実現に向かう方向にもっていき、後者であれば、目標から遠ざけている原因を突き止め、原因を排除することにより目標に向かっていけるように修正するためです。
キャッシュフロー表が目標に向かって進んでいっているのか、そうでないかは、「年末の金融資産残高」がキャッシュフロー表どおりになっているか、外れているのかで判断することができます。
まとめ
「その1」ではキャッシュフロー表の構成と、キャッシュフロー表をフォローする目的について説明しました。「その2」では、年間収支を簡単に算出する方法について述べようと思います。
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー