最終更新日: 2020.05.02 公開日: 2020.05.06
家計

残業時間が一定以上の場合、自己都合退職でも会社都合退職になるってホント?

少しでも収入を増やしたいと思った場合、所定労働時間を超えて働いたときにもらえる残業代は強い味方です。しかし、長時間労働は肉体的な疲労の蓄積だけでなく、脳・心臓疾患にも関連性が強いといわれています。
 
また、心理的負担による精神障害を原因とする自殺にもつながるともいわれ、長時間労働を強いられている環境下に置かれていれば、当然、退職を考えざるを得なくなるケースも出てくるでしょう。
 
退職すると雇用保険から失業手当が支給されますが、この場合の退職理由は自己都合退職になってしまうのでしょうか? それとも会社都合退職とされるのでしょうか?
 
今回は、残業時間が一定以上の場合の退職理由について解説していきます。
 
中村将士

執筆者:

執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

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中村将士

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執筆者:中村将士(なかむら まさし)

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

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雇用保険の概要

まずは雇用保険の概要を説明します。
 
雇用保険は、失業したときの生活費や再就職のための費用を援助することを目的とする保険です。原則として、労働者を1人でも雇っている事業主は雇用保険の適用を受け、労働者は雇用保険に加入しなければなりません。
 
雇用保険の被保険者(=労働者)が離職し、以下の条件に該当するときに雇用保険から失業手当(以下「基本手当」)が支給されます。
 
・ハローワークに来所し、求職の申し込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。

・離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること。
ただし、特定受給資格者または特定理由離職者については、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上ある場合でも可。」
(ハローワーク インターネットサービス「基本手当について」より)
 

会社都合退職と自己都合退職

会社都合退職とは、業績不振によるリストラ、倒産などを理由とした会社側の都合による退職のことです。一方、自己都合退職とはスキルアップ、結婚、療養、親の介護などを理由とした労働者自身の都合による退職です。
 
退職理由が会社都合退職と自己都合退職では何が違ってくるのかというと、基本手当が「いつ支給されるのか」「どのくらいの期間支給されるのか」です。
 
基本手当が支給されるには、まず失業と認定されなければなりません。失業と認定されるには、受給手続きを開始した日から、失業の状態が通算して7日間経過しなければなりません。この期間を「待期期間」といいます。
 
会社都合退職の場合、待期期間を過ぎれば基本手当が支給されます。給付日数は、被保険者であった期間や年齢にもよりますが、90日から330日です。
 


 
一方、自己都合退職の場合、待期期間を過ぎてから3ヶ月経たないと基本手当は支給されません。この期間を「給付制限」といいます。給付日数は被保険者であった期間によりますが、90日から150日です。
 

 
このように会社都合退職は、自己都合退職よりも手厚く保護されることになります。
 

残業時間が一定以上の場合の退職理由

残業時間が一定以上の場合の退職理由の解説に戻ります。
 
ここでは分かりやすく会社都合退職と表現していますが、雇用保険上では「特定受給資格者」または「特定理由離職者」といい、今回関係してくるのは特定受給資格者の方です。
 
特定受給資格者は「『倒産』等により離職した者」と「『解雇』等により離職した者」の2つに大きく分かれますが、以下[出典]に記載のハローワーク インターネットサービスの「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」によると、「『解雇』等により離職した者」の中には下記のような条件が含まれています。
 
離職の直前6ヶ月間のうちに
・いずれか連続する3ヶ月で45時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。
・いずれか1ヶ月で100時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。
・いずれか連続する2ヶ月以上の期間の時間外労働を平均して1ヶ月で80時間を超える時間外労働が行われたため離職した者。
・事業主が危険もしくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、事業所において当該危険もしくは健康障害を防止するために必要な措置を講じなかったため離職した者。
 
つまり、この条件を満たした場合には会社都合退職に該当するということです。
 

まとめ

今回は、残業時間が一定以上の場合、退職理由はどのようになるのかについて解説しました。しかし、条件を満たしたからといっても必ず会社都合退職になるとは限りません。あなたの言い分と会社側の言い分が異なる場合があるからです。
 
そんなときは、雇用保険(基本手当)の受給の手続き時にハローワークで相談してみてください。ハローワークはあくまで中立的な立場で退職理由を判断するので、会社都合退職の証拠となるような書類などをあらかじめ用意しておくといいでしょう。
 
[出典]
厚生労働省「過労死等を巡る概要」(パンフレット「STOP! 過労死」)
厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」
ハローワーク インターネットサービス「基本手当について」
ハローワーク インターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
ハローワーク インターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
 
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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