更新日: 2019.10.01 その他資産運用

最近、老後問題で話題の投資信託。でも含み損を考えると、やめておいた方がいい?

執筆者 : 植田英三郎

最近、老後問題で話題の投資信託。でも含み損を考えると、やめておいた方がいい?
「個人の投資家のほぼ半分近くは、含み損を抱えている」との報道が注目を浴びて約1年が経過しました。老後資金の積み立ては、自助努力で、ある一定の年代から始める必要があることは、最近の騒動の中でも共通の認識になってきました。
 
その場合の主たる金融商品は、投資信託になることが多いのですが、投資信託の保有者の含み損について、改めて考えてみましょう。
 

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植田英三郎

執筆者:植田英三郎(うえだ えいざぶろう)

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

投資信託の含み損保有者46%とは

このニュースの最新データは、金融庁ワーキンググループ会議資料(※)によると次のようになります。
 
運用プラス顧客合計54.1%に対して、元本のマイナス10%~0%未満の顧客は32.2%、マイナス30%以上~マイナス10%未満は11.1%、マイナス30%未満は2.5%となり、元本のマイナス顧客の合計は45.8%になっています。
   
この数値は、株式投資の問題と考えれば想定の範囲かもしれませんが、リスクを分散することも意図した投資信託の成果としては、一般の人が受け入れることのできる数字なのでしょうか。
 
ただ、これは全体の数字ですから、投資信託を販売する金融事業者の業種(証券会社、銀行、投信運用会社直販など)によっても、相当格差があるようです。
 

なぜ、半数近い投資信託が含み損となったのか?

・商品の問題
この数年間の投資信託のメイン商品は毎月分配型であり、これらの商品を重点的に証券会社や銀行が販売してきたことは事実です。
 
定年退職者向けに、給料のイメージで、毎月分配をする商品が推奨されました。これらの商品は、本来の利益分配金は比較的少ないにも関わらず、元本を含めた特別分配をするため、人気はありましたが、複利効果が得られないものとなります。
 
またこれらの商品の中には、販売事業者の手数料や運用報酬が高いものが多くあったと想定されます。
 
・販売方針
投資信託は、長期保有の資産運用が本来の役割のはずなのですが、一括購入や他商品への乗り換えを薦める販売方針が、多くの含み損保有者の発生のもととなったと思われます。根本には顧客の資産運用による金融資産増よりは、販売する事業者の利益優先があると思われます。
 

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運用益の出ている投資信託

このように投資信託の運用成績がマイナス状態の人が多いということですが、一方で利益を上げている人も当然多いわけです。運用利益を出している投資信託は、どのようなものなのでしょうか?
 
2019年6月現在の投資信託協会のデータによると公募投信数は6178本あり、その中には当然長期運用で高い運用益を出しているファンドはあります。
 
ファンドをすべて網羅して分析して、統計的にリストすることも可能なのでしょうが、ここでは設定後10年以上で、この10年間で基準価格が2倍以上になっている銘柄の一部を抽出しました。これ以外にさらに運用益を出しているファンドもあるのでしょうが、一例として下表の7銘柄を上げます。
 
ただし、ファンド名・運用会社は仮名と業種名としました。これらのファンドについて共通していることは、「長期運用」「分配金の全額投資」「購入時費用なし」「運用コストが低い」ことです。サンプルとした7ファンドの2019年7月時点の運用結果の一覧です。

 
この表のポイントは2010年と2019年の基準価格の倍率にあり、1.84倍から3.39倍になっています。単純に10年間、同口数のこれらのファンドを保有していると、元本はこの比率通りに増えるということを意味します。
 
また表の期間は、2010年から2019年の10年間の結果であり、この先の運用予測は分かりません。ただ、前段の含み損を抱えた投資信託と比較した時に、ファンド選びの基準として、また投資信託の保有の有り方として、大いに参考にできるのではないでしょうか?
 

欧米における投資信託の位置づけ

元々、欧米では投資信託は長期運用がベースであり、アメリカで1934年設定の株式ファンドが今でも継続し、上位にランクされています。
 
欧米の個人金融資産の保有比率の中で、株式が高いのは、実は株式ファンドの形になっているからだと思われます。株式イコール単位株式保有の日本の個人が、金融資産を増やせない背景の一つにこんな点があるのでは、と思われます。
 

賢い投資・資産運用のために

実質金利がマイナスまたはゼロの中で、賢い投資・資産運用が求められていますが、投資イコールリスク資産、怖い、というイメージから脱却するために必要なことは、なんでしょうか?
 
・長期・積立・分散
この3つが資産を増やす現在のキーワードです。2018年からはiDeCoやNISAのような節税型の長期資産形成の金融制度・商品が広まりつつあります。
 
・資産運用についてよく学ぶこと
預金利息での資産増が見込めない今日ですから、金融業者の推奨に任せないで、正しい金融知識を得るために学習することが大切です。投資や運用の基本についての正しい知識を、若い頃から学ぶことも大切ではないでしょうか?
 
・ファイナンシャル・プランナー等の専門家に相談する
お金、家計の専門家は、ファイナンシャル・プランナーです。中でも金融機関に所属しない独立系のFPに相談をするのが一つの方法かもしれません。
 

まとめ

老後資金の積み立ての必要性が、幅広く共通認識として理解されてきましたが、やはりその中心になるのは投資信託と思われます。
 
そんな中で、投資信託のマイナス面がクローズアップされた昨年の報道に対して、より正しい資産運用の方法として投資信託が定着すれば、投資運用する個人、金融界、産業界にも良いのではないでしょうか
 
出典
(※)金融庁 「販売会社における比較可能な共通KPIの公表状況 」
一般社団法人 投資信託協会 統計データ
 
執筆者:植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP


 

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