異常事態でも先を見据えた行動を継続するべき理由
配信日: 2020.04.07
大手証券会社では深刻化シナリオ、すなわち世界各国で6月末まで経済封鎖が継続したとの前提で、2020年のアメリカ・中国そして日本の経済成長率をそれぞれ、0.2%、3.7%そして-1.5%との試算を明らかにしています。今回の事態でどんな投資行動をとれば良いのでしょうか。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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これまでの経験則が役に立たないように思えるが
このような事態はこれまでなかったので、過去の事例を参考にできません。不安が不安を呼び、医療用マスクをはじめ、トイレットペーパーや除菌消毒関連商品など、衛生用品の欠品が目立っています。
休日にスーパーに行くと、朝から長蛇の列ができて、買いだめに走っています。不安になれば、「内にこもる」状況が顕著になり、同時にお金に関しても、投資どころか現金化しておいたほうが良いのでは、という声も耳にするようになりました。
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一番のNG行為は、感情を優先させること
このような異常な不安心理で、手元に現金をという極端な行動に出るのは早計かと思われます。投資において最もやってはいけないのは、「感情を優先すること」です。
なんとなくもう少し待てば買い時、とか、もう少し待ってもっと利益を得てから売却、という「根拠なきもう少し」が一番の失敗のもと。
それと(根拠なく)下げ止まらないから、というのはまったく同じ。欲や感情が勝ってしまうと後々後悔することが多いのではないでしょうか。今回の有事においては、投資だけでなく日常生活においてもあてはまりますね。
今回の下落スパイラルも冷静に整理
話を投資に戻すと、「ここが天井」「ここが底」というのは誰にもわかりません。例えば、今回の急落を招いた1つの要因に、新型コロナウイルスのまん延と合わせて原油の協調減産協議が決裂したことによる原油増産懸念、そこから連想される供給過剰と原油輸出企業に対する収益下押し懸念という連鎖があります。
そして適正価格の大幅下落が、原油からほかの金融資産へ飛び火し(今回の場合は原油生産企業が発行している社債返済への懸念から、社債市場の下落)、新型コロナと絡み合って大きな下落スパイラルが形成されてしまいました。
しかし、生産設備が破壊される自然災害とは違い、協調減産協議が再開し何らかの合意ないしは足並みがそろえば、少なくとも原油関連が原因の下げは止まることが予想されます。
新型コロナウイルスに関していえば、感染者の爆発的増加(オーバーシュート)が抑制され、医療が機能すれば収束に向かうことが予想されます。
新型コロナウイルス感染症の場合は、私たち全員が感情のまま(〇〇へ行きたい、旅行に行きたいなど)行動することでオーバーシュートを引き起こすリスクが高まります。
それはとりもなおさず、私たちの行動をますます制限し危険な状況に陥れるということ。全員が関係者であるということは、十分に認識しなければなりません。
先を見据えて冷静に行動する
前述のとおり、「今は」先が見えず、右往左往する乱高下相場ですが、そんなときだからこそ、感情を優先させるのではなく、今の行動がその先を決定づけることに立ち返り、冷静に行動する必要があることは投資も日常生活も同じです。
そして最後に投資スタンスですが、こんなときでも先を見据えて積み立て、時間分散での投資を継続していれば、長期的な収益獲得の土台が形成されていくというのは、過去長い歴史からの値動きが証明しているといえるでしょう。
執筆者:柴沼直美
CFP(R)認定者