更新日: 2020.05.25 その他

日本の労働力低下を救う!?貴重な戦力に成りえる外国人労働者に日本人が気遣うべき点とは?

執筆者 : 佐野誠

日本の労働力低下を救う!?貴重な戦力に成りえる外国人労働者に日本人が気遣うべき点とは?
最近では少子高齢化による人手不足などが原因で、外国人雇用に焦点があてられることが多くなっています。
 
現状では製造業での技能実習生やサービス業での外国人留学生のアルバイト採用など、在留手続き上では“単純労働”と呼ばれる業務が主流となっていますが、今後はホワイトカラーの業務においても外国人雇用が増加するとみられています。
 
既に一部の大企業では日本人と外国人を区別することなく採用するグローバル採用を行っており、徐々に中小企業にもその傾向がみられるようになっています。   
 
そこで、職場の同僚が外国人になった場合にどのような点に気をつけていくべきか考えていきたいと思います。
 
佐野誠

執筆者:佐野誠(さの まこと)

ACROSEEDグループ 代表・行政書士

行政書士法人、社会保険労務士法人、税理士法人を併設したACROSEEDグループを設立し、外国人向け法務サービスを提供しています。
外国人やそれに関わる人々に”信頼と安心”のプロフェッショナルサービスを提供し、日本社会の調和と活力あるグローバル化に貢献しています。
http://www.acroseed.co.jp/

外国人の日本の感想

日本のテレビ番組などで外国人に「日本の感想は?」と聞くと「皆、親切で安心」といった内容のコメントが多く寄せられます。
 
日本人にとってこの感想はうれしいものなのですが、その半面、数年の滞在を経て日本から出ていく外国人の感想には、「島国根性が染みついていて、とても閉鎖的」といった感想もみられます。
 
一般的に観光などで短期間の滞在の場合には前者の好意的な感想が多く、就職などで数年間を日本で暮らした場合には後者の感想が見受けられるようです。この差はどこからくるのでしょうか?
 

外国人が感じる疎外感

観光でくる場合や数カ月の研修などであれば、「自分たちは外国人であり、いわばお客様」という気持ちがありますが、日本で就職し地域住民の1人として生活をするとなると話は別です。
 
日本という社会で根を張って生きていくためには、いつまでも同国人のグループだけで過ごすわけにはいきません。
 
社会と溶け込み日本人と仲良くやっていくためにも、ボランティアや趣味、仕事に関連した勉強会などを通じてさまざまなコミュニティに参加してコミュニケーションを図ることになります。
 
しかし、そこで感じるのが外国人ならではの疎外感です。日本で生活する時々に感じられる“日本人とは違う扱い”が積もり積もって疎外感を生み出していきます。
 

具体的な事例

例えば“外国人”という言葉自体が嫌という人も多くみられます。「ガイジン」とは外の人の意味であり、内の人と明確に区別をしている言葉です。
 
また、同僚と飲みに行った席でも、「フォーク準備しましょうか?」といった何気ない言葉が心に引っ掛かります。日本人からすると気遣いで親切心から言っている言葉ですが、外国人からすると「何でそんなことをいちいち聞くの?」と捉えられます。
 
他にも「すごい!漢字が書けるのですね。」、「お刺身食べられます?」といったたぐいの会話です。ちょっとした配慮で出てくる言葉が逆に日本人と外国人の違いを作り、相手に疎外感を味わわせる結果となっています。
 

どのように判断すればよいのか?

それでは、「外国人にこれを言って良いのか、悪いのか」、判断する基準は何なのでしょうか。
 
状況によって異なるかもしれませんが、もっとも基本となる考えは「この人が日本人であったら、私は同じ行動をとるだろうか?」といった自問自答です。
 
日本人の同僚と居酒屋で飲んでいるときに、「すごい!お箸使えるのですね…」とは絶対に言いません。相手から「実はお箸が苦手なのです…」と言われたら、そのときに初めてフォークを準備してあげればよいことです。
 

相手の違いを認める

また、育った文化や社会が異なるのですから、相手の違いを認めることも重要です。特に職場などでコミュニケーションが進むと、相手と違う部分がたくさんみえてくるはずです。
 
宗教や政治的考え(よほど親しくない限りは話題にしない方がよいでしょう)、結婚観、人生観、価値観など、一般的な日本人と異なる点はたくさんありますが、「あ、この人はこういう人なんだ…」といったように、いったんは受け止めることが重要です。
 
こんなことわかっているつもりでも、日本で生まれ育った人は、自分でも気が付かないうちにステレオタイプなものの見方で物事を判断していることがあります。
 
当たり前のことかもしれませんが、相手の外見や表面的な違いなどで決めつけずに、その人の普段の行動や言葉などの中身で、「好きか嫌いか」、「良い人か悪い人か」を見極めていくことになります。
 
外国人の同僚ができたなら、自分の視野を広げる絶好のチャンスだと思い、前述した点に注意しながら積極的にコミュニケーションを図っていってください。
 
Text:佐野 誠(さの まこと)
ACROSEEDグループ 代表・行政書士

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