更新日: 2020.04.07 その他保険

もし「任意保険を契約していない車」と交通事故に遭ったら…

執筆者 : 大泉稔

もし「任意保険を契約していない車」と交通事故に遭ったら…
任意保険のテレビCMを観ていると、交通事故の現場で「お客さま(=任意保険の契約者)に代わって、私(=保険会社の担当部署のプロ)がお相手の方とお話ししましょうか?」という場面があったりしますね。
 
「契約者に代わって、任意保険の保険会社の従業員が、交通事故の相手と話し合う」。これが、いわゆる(任意保険の)示談代行サービスです。
 
任意保険の「示談代行サービス」は、すっかり定着した感じがあります。このサービスは、契約者にとって非常に心強いサービスですね。実は、任意保険の「示談代行サービス」は、交通事故の被害者にとってもありがたいものなのです。
 
大泉稔

執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)

株式会社fpANSWER代表取締役

専門学校東京スクールオブビジネス非常勤講師
明星大学卒業、放送大学大学院在学。
刑務所職員、電鉄系タクシー会社事故係、社会保険庁ねんきん電話相談員、独立系FP会社役員、保険代理店役員を経て現在に至っています。講師や執筆者として広く情報発信する機会もありますが、最近では個別にご相談を頂く機会が増えてきました。ご相談を頂く属性と内容は、65歳以上のリタイアメント層と30〜50歳代の独身女性からは、生命保険や投資、それに不動産。また20〜30歳代の若年経営者からは、生命保険や損害保険、それにリーガル関連。趣味はスポーツジム、箱根の温泉巡り、そして株式投資。最近はアメリカ株にはまっています。

もし、交通事故の被害に遭ったとき、相手が任意保険に加入していなかったら?

もし、交通事故の被害に遭ったとき、加害者である相手が任意保険に加入していなかったとしたら。
 
交通事故の被害者は、少なくとも、「代わって、私がお話ししましょうか?」という任意保険の保険会社の担当者と話し合うことはありません。つまり、交通事故の被害者は、加害者と直接、話し合うことになります。
 
任意保険の保険会社の担当者はその道のプロですが、交通事故の加害者が、まさか、その道のプロということはないでしょう。ということで、交通事故に遭った人にとっても、任意保険の「示談代行サービス」はありがたいものなのです。
 

任意保険に加入していない車は、どのくらいあるの?

交通事故で頼りになる任意保険ですが、任意保険に加入していない車はどのくらいあるのでしょうか?
 
2018年3月末の損害保険料率算出機構の統計によると、自家用普通乗用車の対人賠償・対物賠償の加入率は双方とも82.3%。ということは、自家用普通乗用車のうち、17.7%が任意保険に未加入ということになります。
 
また、自家用小型乗用車は双方とも78.9%。ということは、自家用小型乗用車のうち、21.1%が任意保険に未加入ということになります。
 
そして、二輪車は対人賠償が42.3%、対物賠償は43.0%です。ということは任意保険に加入していない二輪車が、なんと過半数を占めていることになります。
 

自賠責保険の被害者請求

もし、任意保険に加入していない車によって交通事故の被害に遭い、加害者と直接、話し合わなくてはいけなくなった場合。
 
相手がキチンと話し合いに応じてくれれば、まだよいのですが、「私は悪くない!(加害者と被害者の)立場が逆だろう!」などと開き直られたときは「泣き寝入り」するしかないのでしょうか?
 
そんなときは、自賠責保険の「被害者請求」という方法があります(いわゆる人身〈ケガや後遺障害、死亡〉に限られます)。
 
まず、「交通事故証明書」を入手します。交通事故証明書には、交通事故の当事者の名前や住所、連絡先などが載っており、自賠責保険に関する情報も載っています。具体的には、加入している自賠責保険の保険会社名や自賠責証書番号です。
 
これらの情報を基に、交通事故の相手方の自賠責保険の保険会社に電話をすると、自賠責保険の保険金請求書類の一式を送ってくれます(ちなみに、電話をするのは、自賠責保険の保険会社の「自賠責保険サービスセンター」などの部署です)。
 
自賠責保険の保険会社に連絡するにあたり、交通事故の相手への通知や同意などは一切不要です。交通事故の相手に何も言わず、もちろん、相手と話し合うこともなく、交通事故の相手の自賠責保険を請求することができるのです。
 

自賠責保険には「示談代行サービスがない」

自賠責保険は強制保険ですので、公的な性格が強いと言えます。そのため、「示談代行サービス」がありません。
 
依頼をすれば自賠責保険の請求書は送ってくれますが、「書類は届きましたか?」「お困りのことはございませんか?」などの、優しい言葉によるアフターフォローはありません。
 
分からないことがあれば、自ら電話し、尋ねなくてはなりません。その際も担当者が付くとは限らず、毎度、別の人とやり取りするということもあり得ます。
 
しかし、最近の自賠責保険サービスセンターは、問い合わせの担当者が毎回異なっていたとしても、それまでの履歴が引き継がれるようになっているようです。
 

まとめに代えて

交通事故の相手が任意保険に加入していない場合は、交通事故の相手と直接、話し合うことになります。
 
しかし、その話し合いがスムーズにいかなかったからといって「泣き寝入りするしかない」というわけではありません。今回は、そのようなときに自賠責保険の「被害者請求」という方法があるということを紹介させていただきました。
 
出典:損害保険料率算出機構「2018年度版(2019年4月発行)自動車保険の概況」
 
執筆者:大泉稔(おおいずみ みのる)
株式会社fpANSWER代表取締役
 

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