更新日: 2019.06.24 その他年金

「年金受給には10年の資格期間があればもらえるよ!」これって本当?

執筆者 : 井内義典

「年金受給には10年の資格期間があればもらえるよ!」これって本当?
2017年8月より老齢年金の受給に必要な資格期間は原則25年から10年となり、25年に届かなくて老齢年金を受給できなかった人も受給できるようになりました。
 
しかし、受給資格期間が10年あれば受給できるからといって、10年のみの期間では安心できません。
 

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井内義典

執筆者:井内義典(いのうち よしのり)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

1982年生まれ。株式会社よこはまライフプランニング代表取締役。

資格学校勤務時代には教材編集等の制作業務や学習相談業務に従事し、個人開業の社会保険労務士・FPとしては公的年金に関する研修講師を務め、また、公的年金の相談業務も経験してきている。

これらの経験を活かして、専門誌で年金に関する執筆を行っている。2018年に、年金やライフプランに関する相談・提案、教育研修、制作、調査研究の各事業を行うための株式会社よこはまライフプランニングを設立、横浜を中心に首都圏で活動中。日本年金学会会員、日本FP学会準会員。

老齢年金は保険料の納付実績に応じて計算される

65歳からの老齢基礎年金は保険料の納付実績に応じて、計算されます。【図表1】のとおり、40年(480月)保険料を納付すれば、満額780,100円(2019年度)の老齢基礎年金が受給できます。
 

 
10年の受給資格期間(保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間)があれば、老齢基礎年金自体は受給できますが、10年保険料を納付したのみの場合では、年間195,025円(780,100円×120月/480月)と少ない年金となってしまいます。
 
もし10年だけの受給資格期間のうち、全てが保険料納付済期間でなく、免除期間や合算対象期間(カラ期間)も含まれていると、さらに金額が少なくなってしまうでしょう。
 
また、2階建て年金制度の2階部分となる老齢厚生年金についても、在職中の給与(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)、厚生年金加入月数を元に計算されます。厚生年金加入期間が少ないと、その分金額が少なくなるでしょう。
 
納付していた期間が少ないと年金額が少なく、多いと年金額が多くなるのは言うまでもありません。
 

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遺族年金は25年の期間が必要

老齢年金に関しては10年の受給資格期間があれば、金額が少なくても受給そのものが可能になりましたが、遺族年金に関しては引き続き25年の受給資格期間が必要です。
 
亡くなった人に生計を維持されていた子のある配偶者、または子に支給される遺族基礎年金、亡くなった人に生計を維持されていた配偶者・子、父母、孫、祖父母に支給される遺族厚生年金ですが、受給のためには遺族基礎年金と遺族厚生年金それぞれで亡くなった人の亡くなった当時の要件があります。
 
【図表2】にありますように遺族基礎年金と遺族厚生年金それぞれA~Dの4つがあり、A~Dのうちいずれかを満たしていなければ、遺族は遺族基礎年金あるいは遺族厚生年金を受給できません。
 

 
その中で、遺族基礎年金の要件CとD、遺族厚生年金の要件Dは主に中高齢者が死亡した場合を想定した要件となっていますが、25年の老齢年金の受給資格期間を満たした人の死亡となっています。
 
老齢年金は10年に短縮され、10年で受給できても、遺族年金は25年以上必要となっていますので、原則25年ないと要件を満たしたことになりません。もし、受給資格期間10年だけの人が亡くなった場合は、【図表2】の他の要件を満たさない限り、遺族に遺族年金が支給されないので注意が必要です。
 
従って、もしもの時の、家族のための遺族年金のことも考えて、可能な限り長く保険料を納めておく必要があり、国民年金第1号被保険者で経済的に国民年金保険料を納められない場合は、受給資格期間には算入されるよう保険料免除の手続きを行っておく必要があるでしょう。
 
執筆者:井内義典(いのうち よしのり)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー