公開日: 2019.06.22

やっぱり嬉しい「株主優待」  株主にも企業にメリットが

株式投資に興味をもつ人の中には、株式を持つことにより、特別な飲料・食品や金券がもらえる株主優待に魅力を感じている人もいるはずです。企業側も業績向上は念頭にありますが、株主優待制度の充実にも、かなり熱心になりつつあります。
 

株主優待企業は年々増加へ

投資ファンドや他社株を保有する企業は、株主優待よりも企業業績や配当額に関心がありますが、個人投資家の場合は、業績だけでなく株主優待への関心も高くなります。
 
飲料・食品はもとより、買い物券、食事券、QUOカード、カタログギフトなどが受け取れるからです。多くの企業は、株価に対して2~3%に相当する金額を株主優待に使っています。
 
2019年の1月時点で、株主優待を実施している企業の数は1500社を超えており、これは戦後最高といわれています。
 
2010年には1000社ほどでしたから、それだけ増えたことになります。実際に企業業績が振るわず、配当がゼロもしくはごく少額の企業でも、株主優待を実施することで、個人投資家の関心を引き付けています。
 
また、企業は投資家の長期保有を期待しているために、一時的な保有ですぐに売却されるよりも、2年または3年以上継続的に株式を保有している株主に対して、さらに優遇した優待制度を実施するケースも増えてきました。
 
具体的には、最初は食事券が5枚だったものを、2年以上持ち続けた株主には、食事券を3枚プラスして合計8枚にする、といった優待を実施しています。
 

人気の高い株主優待は

企業は様々な株主優待を実施していますが、食品会社など行う飲料・食品の提供、小売業による買い物券や食事券の提供などが、多くの個人投資家に人気があります。
 
例えば、食品関係では、アサヒ、キリン、サッポロのビール3社は、最低単元の株式を保有する株主に対し、年に1回自社のビール(清涼飲料への変更も可)が送られてきます。
 
日清食品、東洋水産からは、カップ麺・即席麺類が送られてきます。マルハニチロや日本水産からは水産加工品の詰合せが送られてきます。
 
こうした企業の株を保有していると、かりに多少の株価の値下がりがあっても、ビールやカップ麺などが好きな人にとっては、株式を保持し続ける動機としては十分です。
 

 
また、ヤマダ電機、ビックカメラなど家電量販店では、自社店舗で使える買い物券が、すかいらーく、吉野家など飲食チェーンでは、系列店舗で使える食事券が送られてきます。家の近くにあり、家族などと利用している人にとっては非常に好都合です。
 
交通関係では、ANA、JALの航空2社からは、優待航空券や系列ホテルの割引券などが送られてきます。鉄道会社も無料乗車券や系列ホテルの割引券を提供しています。
 
多くの企業は、保有株式数が増えれば、持ち株数に応じて優待内容もグレードアップします。また、株主に対して、自社工場や特別な施設見学会を実施し、企業に実情をPRする取り組みもされています。
 

優待を受けるための株式購入

株主優待を受けるためには、証券会社に口座を開き当該企業が決めた優待の基準月までに、株式を保有している必要があります。多くの企業は決算月にそれが当たります。
 
その決められた月の最終売買日(平日)より中2日前に、権利を確定しておく必要があります。具体的には、最終売買日が30日(火)のときは25日(木)になります。土日と休日はカウントされません。
 
また株主優待は、通常年1回もしくは2回です。年2回の場合は、例えば3月と9月、6月と12月と、半年ごとに優待が受けられます。ただし、権利確定日前には購入者が多いため株価が高くなり、確定後に売却する人も出るため、株価が値下がりする傾向があります。
 
権利確定日だけに眼が行き、株価の高い確定日直前に購入し、株価が下がる確定日直後に売却するとかなりの損失が生まれ、優待どころではなくなりますので注意が必要です。
 

株主にも企業にもメリットがある

株主優待については、株主にとっても、企業にとってもメリットがあります。株主サイドでは、(1)好きな商品や金券が手にはいることです。株主になることで、欲しい飲料・食品や行きたい量販店の買物券がもらえることは、株式投資を行う大きな動機づけになります。
 
また、(2)株式投資を身近に体感することができます。難しい投資のルールの習得や投資判断を必要とせず、自分が欲しいサービスを提供している企業の株式を購入すればいいわけです。
 
さらに、(3)株価の変動リスクが比較的少ないこともあります。半導体や自動車など世界経済の動きとは直結していない企業が多いので、株価がそれほど大きくは変動しません。権利確定後値下がりすることはあっても、次の権利確定日が近づくと株価も戻ってくる傾向にあります。
 
株主優待を実施している企業側にも、商品の取り揃えや発送などのコストはかなりかかりますが、メリットはあります。
 
まず、(1)個人投資家を増やす効果があります。優待に魅力を感じて新規に株主になる人を取り込むことが出来れば、企業にとっては好都合です。優待目的で株式市場に新規参加者が増えれば歓迎されます。
 
また、(2)企業イメージの向上にも役立つことです。とくに消費者と向き合っている企業では、同業他社で株主優待を実施していない場合は、その会社よりも消費者から好感をもたれます。
 
さらに、(3)優待に期待することで、長期保有の株主が増え株価の安定に寄与することです。株主が離反せずに保有してもらうメリットがあるため、通常の優待に加え、長期の保有者にはプラスαのサービスを提供する企業が増えています。
 
執筆者:黒木達也(くろき たつや)
経済ジャーナリスト
 



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