更新日: 2019.06.15 その他

1日あたりの入院医療費は男性の方が高い?健康保険の給付実績からみる医療費

執筆者 : 松浦建二

1日あたりの入院医療費は男性の方が高い?健康保険の給付実績からみる医療費
もし病気になって入院した時、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?個人差はあるものの、年齢別の平均値を知ることができれば、経済的な備えがかなりしやすくなります。
 
そこで、健康保険(公的な医療保険制度)の給付実績を調べた統計から、年齢別そして男女別に入院医療費を調べてみました。
 
松浦建二

執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)

CFP(R)認定者

1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/

1件あたりの医療費は70代前半が一番かかっている

厚生労働省の医療給付実態調査では、健康保険に加入している人の受診状況を診療報酬明細書等から詳細に調査しています。その結果から、1件あたりの入院医療費を年齢別・男女別にまとめ、グラフにしてみました。
 
健康保険は、全国健康保険協会管掌健康保険や組合管掌健康保険、後期高齢者医療制度等に分かれていますが、ここでは各制度の合計値を載せています。また、グラフの年齢は「0~4歳」から「95~99歳」まで5歳刻みと、「100歳~」に分けて載せてあります。
 

 
男性の1件あたりの入院医療費をみると、70~74歳が580,537円で最も高く、5~9歳が398,392円で最も低くなっています。
 
全年齢の平均が542,273円なので、50歳から84歳までの7階級しか平均を上回っていません。50歳から84歳までに入院件数の68%が集中していることで、このような結果になっています。
 
なお、グラフの1件あたりの医療費は費用全体(10割)の額なので、健康保険加入で自己負担割合が3割であれば、グラフの額を0.3倍した額が自己負担額となります。
 
例えば398,392円なら398,392×0.3で、自己負担額は約12万円となります。高額療養費制度によって負担額をさらに軽減させることができます。
 

 
女性の場合も似たような傾向にあり、70~74歳が563,356円で最も高く、25~29歳が274,446円で最も低くなっています。全年齢の平均は502,801円で、45歳から89歳前の9階級が平均を上回っています。
 
20歳から39歳までの入院医療費が他の年齢や男性に比べて極端に低くなっていますが、おそらく医療費の低い妊娠や分娩等が多く含まれ、平均値をかなり下げているのでしょう。
 

1日あたりの入院医療費は男性の方が5千円以上高い

先ほどは1件あたりの入院医療費でしたが、今度は1日あたりの入院医療費について、性別・年齢別に分けてグラフにしてみました。
 

 
男性の1日あたりの入院医療費は、0~4歳が64,663円で最も高く、100歳~が23,964円で最も低くなっています。
 
全年齢の平均は36,930円で、年齢によって1日あたりの医療費に2.7倍もの差があります。19歳までの入院医療費が比較的高いのは、入院日数の短さが関係しているかもしれません。
 
1日あたりの入院医療費も健康保険加入で自己負担割合が3割であれば、グラフの額を0.3倍した額が自己負担額となります。
 
例えば36,930円なら36,930×0.3で、1日あたりの入院医療費の自己負担額は約1.1万円となります。高額療養費制度に該当すれば負担額をさらに軽減させることができます。
 

 
女性の場合も0~4歳が62,880円で最も高く、100歳~が20,621円で最も低くなっています。全年齢の平均は31,681円で、1日あたりの医療費が平均より低いのは80歳以上の5階級に限られます。
 
80歳以上の入院医療費が低いのは若年層と逆で、入院日数の長さが関係しているかもしれません。
 
男性と女性の1日あたりの入院医療費を比べると、全年齢の平均は男性の方が5,249円高く、年齢別でもほとんど男性の方が高いですが、10~14歳と30~49歳では女性の方が高くなっています。
 
病気等で入院して実際に負担(3割負担と仮定)する費用をイメージすると、平均的な30歳代なら入院医療費は女性で10万円程度、男性で15万円程度となりそうです。
 
ただ、高額療養費制度で負担額が減ることもあれば、保険適用外の費用(差額ベッド代等)で負担額が増えることもあります。余裕を持って備えておきましょう。
 
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
 

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