更新日: 2020.05.14 その他税金
気が重い納付書の束はどう処理する? 社会保険料と税のさまざまな納付方法について
そんなとき、できるだけ負担のない支払い方法を選びたいものです。本記事では、数ある納付方法を選ぶ際、気を付けたいポイントをご紹介します。
執筆者:酒井 乙(さかい きのと)
AFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。
長期に渡り離婚問題に苦しんだ経験から、財産に関する問題は、感情に惑わされず冷静な判断が必要なことを実感。
人生の転機にある方へのサービス開発、提供を行うため、Z FinancialandAssociatesを設立。
目次
支払いは大きく分けて、紙の納付か電子納付の2つ
納付方法には、大きく分けて、2つの方法があります。1つは「紙による納付」で、納付書を持参して窓口の係員やコンビニの店員などの「人」を介して支払う方法。そしてもう1つは「電子納付」で、「人」を介さない方式です(※1)。
「紙による納付」は主に3つあり、金融機関の窓口で支払う方法、市区町村役場などの行政機関で支払う方法、そしてコンビニで支払う方法です。
一方「電子納付」は支払方法が多様で、口座振替、ATM、インターネットバンキングやクレジットカード、スマホアプリなどさまざまで、どれを使えばよいのか、迷ってしまいそうです。
「紙による納付」を選ぶ人は、「安心・確実」を求める
自宅に納付書が届いたら、何かの用事に合わせて外出。ついでに銀行やコンビニに立ち寄って、納付書の支払い手続きを済ませる。納付書の内容がよく分からなくても、窓口の行員さんに聞けるから安心。そう考えて、紙による納付を選ぶ方は多いことでしょう。
ちなみに筆者も2、3年前までは「紙」派で、勤務時間の昼休み中、ランチ後の散歩がてら郵便局まで歩いて支払いをしたものでした。
こうした「紙」派の方は現在も多く、全国銀行協会の調査によれば、個人や個人事業主の方が2017年からの1年間で利用した納付方法は、「紙による納付」が「電子納付」を大きく上回っています(図2)。
それではなぜ、紙による納付が好まれるのでしょうか? 同調査では、調査対象者のこんな声をあげています(※4)。
●金融機関の窓口であれば、納付書と現金を渡すだけで手続きしてくれるし、何か間違いがあったときに指摘してもらえる
●金融機関の窓口で納付し、領収証書を受け取ることで、確実に納付したという実感が得られる
●金融機関の窓口であれば、納付期限を経過した納付書も受け付けてもらえる
つまり、紙による納付のメリットは、窓口の人と対面することで得られる「安心」「確実」と、「(期限を過ぎても受け付けてくれる)対応のよさ」といえるでしょう。
電子納付を選ぶ人は「効率」を求める
一方、紙の納付は安心とはいっても、銀行の窓口が混んでいると何十分も待たされることがあります。
お昼時の会社員が昼食を買いに集まるコンビニでは、混雑時に時間のかかる納付手続きをすると、コンビニ店員さんにも、待っている行列の人にも、何だか悪い気になるもの。電子納付なら、こうした悩みはありません。
前述の調査によれば、調査対象者は「電子納付を選択した理由」として、こんな理由を挙げています(※5)。
●家やオフィス等から移動する必要がない(ATMを除く)
●窓口で待たなくてよい
●手続きにかかる時間が短い
つまり、電子納付で得られる大きなメリットの1つは、納付の手間を省けること、といえそうです。
電子納付を選ぶ際のメリットと注意点
図1で見たとおり、電子納付にはさまざまな方法があります。ここでは、代表的な方法について、そのメリットと注意点を挙げておきます。選ぶ際の参考にしてください。
今後は電子納付がいっそう進む可能性が高い
依然、紙による納付率が高いことはご紹介したとおりですが、今後はどうなるのでしょうか?
政府は、「キャッシュレスを進めることで、税金の徴収にかかる社会コストの削減に寄与する」として、さらなる税の支払いに関する効率化を推進する検討を行っています(※7)。紙の納付書がなくなり、すべての支払いがオンラインで行われる日は、そう遠くない未来に訪れるかも知れません。
(参考)
(※1)一般社団法人全国銀行協会 税・公金収納・支払の効率化等に関する勉強会 調査レポート P6 (2)納付方法 における分類に従った。
(※2)ペイジー対応ATM以外にも、税・公金の納付書を自動的に読み取る機能を備えた新型ATMなどがある。
(※3)同調査レポート P8 (1)個人・個人事業主の納付実態 <直近1年間で利用した納付方法>
(※4)同調査レポート P11 (参考1)インタビュー調査結果(個人・個人事業主)
(※5)同調査レポート P9 <電子納付を選択した理由>
(※6)ペイジー「ペイジーが利用可能な企業・団体」
(※7)経済産業省 キャッシュレス・ビジョン P52
執筆者:酒井 乙
AFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。