障害者控除の控除額っていくら? 受けられる優遇措置って?

配信日: 2020.01.22 更新日: 2020.01.23

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障害者控除の控除額っていくら? 受けられる優遇措置って?
所得控除の一つに障害者控除というものがあります。今回は障害者控除によって控除される金額や控除を受けるための手続きなどについて解説します。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士

2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。
広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

障害者控除ってなに?

障害者控除とは、本人や扶養している一定範囲の配偶者、親族などが所得税法上における障害者に当てはまる場合に所得控除を受けられる制度です。所得控除を受けることで、同じ所得でも所得税と住民税が低くなります。
 
なお、その中でも特に障害の度合いが重いと判断される場合、特別障害者として通常の障害者控除よりも高い控除を受けることができます。

・障害者控除の対象者の要件

障害者控除の適用を受けるには次のうちのいずれかに該当することが必要です。なお、障害が特に重いと判断される場合は特別障害者に該当し、通常の障者控除よりも控除額が大きくなります。
 
(1)精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人(特別障害者)
 
(2)児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人(重度と判定されれば特別障害者となります)
 
(3)精神保健および精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人(障害等級が1級の場合は特別障害者)
 
(4)身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人(程度が1級または2級の場合は特別障害者)
 
(5)精神または身体に障害があり、かつ、満65歳以上の人で、障害の程度が(1)、(2)または(4)に掲げる人に準ずるものとして市町村長や福祉事務所長などの認定を受けている人(特別障害者に準ずると認定されれば特別障害者)
 
(6)戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人(恩給法に定める特別項症から第3項症に該当すると特別障害者となります)
 
(7)原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人(特別障害者)
 
(8)その年の12月31日現在、引き続き6ヶ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする場合(特別障害者)

・控除される金額について

障害者控除によって控除される金額は区分に従い下記のとおりとなります。
 

 
なお、同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族であり、かつ、納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかと同居を常としている方です。
 

障害者控除の手続き

会社員やパート・アルバイトの方は年末調整によって障害者控除の適用を受けることができます。勤務先に給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出すれば、あとは特別な手続きなど必要ありません。
 
ただ、年末調整に関して、雇用契約を結んで就労していても給与が2000万円を超えるような方や日雇い労働者といった方は対象外となりますのでご注意ください。
 
個人事業主の方や年末調整の対象外となるような方は確定申告によって障害者控除の適用を受けることになります。障害者控除独特の添付書類は原則必要ありません。
 

実際にどの程度変化するのか

障害者控除によって減免される金額は障害者控除の額に課税所得によって定められた所得税率を掛けて計算することで算出できます。では、障害者控除によってどれだけの差が出るのか所得税を例に計算してみましょう。ただし、詳細な条件設定については割愛させていただきます。

・モデルケース(1)

まずは課税対象となる所得金額が350万円となる方が障害者に該当するご家族を一名扶養していると仮定しましょう。課税所得が350万円の場合、所得税の税率は20%と所得税法により定まっています。
 
また、先に確認したとおり障害者に該当する家族を一名扶養している場合に控除される金額は27万円です。つまり、本事例において実際に控除される金額は27万円×20%で5万4000円となります。

・モデルケース(2)

次は扶養している配偶者が同居特別障害者と認められたケースで計算していきましょう。課税対象となる所得金額は320万円と仮定してみます。この場合、所得税の税率は10%と所得税法により定められています。
 
また、同居特別障害者による所得控除は75万円です。今回控除される金額は75万円×10%=7万5000円となります。
 

まとめ

納税者や扶養している家族が障害者に該当する場合、障害者控除を受けられることがあります。障害者控除の適用を受ける場合には、年末調整または確定申告の手続きを忘れないようにしましょう。
 
執筆者:柘植輝
行政書士


 

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