更新日: 2019.12.05 その他税金

子どものアルバイトで思わぬ税負担?学生の働き方の壁とは

執筆者 : 中田真

子どものアルバイトで思わぬ税負担?学生の働き方の壁とは
学生のアルバイトなので、税金を納める必要はない! ということにはなりません。アルバイトの給与収入は、課税の対象となるだけでなく、収入金額によっては親の税負担が増える可能性もあります。今回は、子どものアルバイトにかかる税金や注意点について、ご説明します。
 
中田真

執筆者:中田真(なかだ まこと)

CFP(R)認定者、終活アドバイザー

中田FP事務所 代表

NPO法人ら・し・さ 正会員
株式会社ユーキャン ファイナンシャルプランナー(FP)講座 講師

給与明細は「手取り額しか見ない」普通のサラリーマンだったが、お金の知識のなさに漠然とした不安を感じたことから、CFP(R)資格を取得。
現在、終活・介護・高齢期の生活資金の準備や使い方のテーマを中心に、個別相談、セミナー講師、執筆などで活動中。
https://nakada-fp.com/

アルバイトで知っておきたい103万円の壁とは?

アルバイトの給与収入は、サラリーマンと同じ給与所得として、所得税と住民税の対象となります。このアルバイトの給与収入が103万円を超えると所得税がかかります。この境界を「103万円の壁」と表現しています。
 
一方、住民税では、103万円ではなく100万円までであれば住民税がかからないと考えるのが目安となります。詳しくは、住民票を置く市区町村に確認してみましょう。
 

103万円を超えてしまった場合は?

103万円を超えたアルバイトの給与収入部分に対しては、所得税・住民税が課税されます。また、世帯主(親など)の扶養親族になっている場合は、世帯主の扶養から外れます。そのため、世帯主が扶養控除(※2)を受けられなくなり、世帯主が納める所得税・住民税も増えることになります。
 
※2:扶養控除の金額は、16歳以上で38万円、19歳以上23歳未満で63万円
 
ただし、勤労学生控除という制度を適用すれば、以下の3つの要件をすべて満たした場合、控除(27万円)を受けられます。103万円+27万円 = 130万円まで、所得税・住民税がかからない枠を拡大できます。

【勤労学生控除を受けられる3つの要件】

1、給与所得などの勤労による所得があること
2、合計所得金額が65万円以下(令和2年分以降は75万円以下)で、しかも上記1の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること(合計所得金額とは、給与収入から給与所得控除などを差し引いた額)
3、特定の学校の学生、生徒であること
 
注)特定の学校など、詳しいことについては、国税庁のホームページ(後述の出典)をご確認ください。
 
勤労学生控除を受けるためには、「扶養控除等(異動)申告書」に勤労学生控除に関する事項を記載してアルバイト先に提出するか、確定申告を行う必要があります。
 
勤労学生控除の注意点としては、勤労学生控除を受けている場合でも、給与収入が103万円を超えてしまうと、世帯主(親など)の扶養から外れてしまうことです。世帯主が扶養控除を受けられなくなり、世帯主が納める所得税・住民税が増えることになります。
 
勤労学生控除を受ける場合は、扶養から外れることなどについて、世帯主(親など)に相談すると良いでしょう。
 

106万円と130万円の壁にも注意が必要

103万円の壁の他にも106万円と130万円の壁が存在します。106万円と130万円の壁とは、社会保険料の壁です。給与収入が130万円以上の場合、社会保険に加入することになり、厚生年金保険料や健康保険料を負担することになるのです(130万円の壁)。
 
また、給与収入が106万円以上、130万円未満の場合であっても、以下の要件を満たした場合は、厚生年金保険料や健康保険料を負担することになります(106万円の壁)。

【社会保険の加入要件】(給与収入が106万円以上、130万円未満)

・正社員が501人以上
・収入が月8万8000円以上
・雇用期間が1年以上
・所定労働時間が週20時間以上
・学生、生徒ではない(学生でも定時制や通信制の学校に通っている場合は加入対象になります)
 
ただし、学生アルバイトの場合、上記の給与収入が106万円以上、130万円未満の社会保険の加入要件には該当しませんので、130万円の壁を意識することになります。
 

よくある質問

103万円の壁について、よくある質問についてもおさえておきましょう。

1、複数のアルバイトをしている場合は?

→ 給与を合算した金額で考えます。

2、対象となる期間は?

→ その年の1月1日から12月31日までとなります。

3、交通費は対象となるのか?

→ 交通費は原則として給与に含まれませんが、交通費が月15万円を超える場合は、課税対象となります。また、交通費込みで給与が支払われるケースでは、給与に含まれる場合もありますので、注意が必要です。
 

まとめ

学生のアルバイトにおいても、何も知らずに働くのではなく、103万円の壁や130万円の壁など、税金や社会保険料の負担について、事前に知っておくことで、無駄なく働くことができるかもしれませんね。
 
出典 国税庁「No.1175 勤労学生控除」
 
執筆者:中田真
CFP(R)認定者、終活アドバイザー


 

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