執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
制度の内容
「災害減免法による所得税の軽減免除」は、雑損控除の適用を受けない場合に、その年の所得税が軽減・免除されるものです。この制度を受けるには、次の要件に当てはまる必要があります。
1.災害によって受けた住宅や家財の損害金額が、その時価の2分の1以上
2.災害にあった年の所得金額の合計額が1000万円以下
仮に、この2つの要件を満たした場合、下の表のように、所得税が軽減、または免除されます。
○災害減免法により軽減または免除される所得税の額の表
※国税庁「No.192 災害減免法による所得税の軽減免除」より
ここでのポイントは、軽減・免除される金額が「所得税から」という点です。雑損控除は「所得控除」のため、その年の収入から差し引かれ、結果として、課税所得金額に所得税率が積算され所得税が計算されます。
これに対し、「災害減免法による所得税の軽減免除」は、直接、所得税から上の表にある金額が軽減・免除されるため、「税額控除」に似た考え方になっています。
「雑損控除」は、課税される所得金額が減ることで所得税が軽減される、「災害減免法による所得税の軽減免除」は、直接、所得税が軽減・免除されると理解してみましょう。
この2つの違いについて、所得税の簡単な計算式を見ながら確認してきます。例えば、会社員の場合、一般的に、所得税の計算式は次のようになります。
1.年収 - 給与所得控除 = 給与所得
2.給与所得控除 - 「所得控除(雑損控除)」= 課税所得金額
3.課税所得金額 × 所得税率 = 「所得税」
そして、雑損控除を使わずに、災害減免法による所得税の軽減免除を選択した場合は、次のようになります。
1.年収 - 給与所得控除 = 給与所得
2.給与所得控除 -「所得控除」 = 課税所得金額
3.課税所得金額 × 所得税率 = 「所得税」
4.所得税 -(災害減免法による所得税の軽減免除)
雑損控除を使うべきか、災害減免法による所得税の軽減免除を使うべきかは、被災の状況により異なります。いずれにせよ、確定申告などにより適用を受けるようにしましょう。
出典:※国税庁「No.1902 災害減免法による所得税の軽減免除」
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
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