更新日: 2019.10.01 その他税金
増税で話題のキャッシュレス・消費者還元事業。消費者には実際、メリットがあるの?
消費税が2%上がるのに対して、ポイントが2~5%戻るのですから、キャッシュレスで買い物をすれば以前より安くなる。生活費も下がると考えていいのでしょうか?それについて検証してみましょう。
執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー
東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。
キャッシュレス・消費者還元事業とは?
政府広報によれば、キャッシュレス・消費者還元事業とは、「2019年10月から2020年6月までの間、対象店舗でクレジットカード、デビットカード、電子マネー、スマートフォン等を使って代金を支払うと、2~5%のポイント還元が受けられる」というものです。
ここで注意しなければいけないことは、
1.期間限定であること
2.ポイント還元を受けられる支払い手段が決まっていること
3.「対象店舗」からの購入に限定されること
です。これら一つひとつの順を追ってみていきます。
期間限定であること
ポイント還元されるのは、消費増税が始まってから9ヶ月の間です。これは政府の意図が、「消費増税開始時期に消費者の購買意欲が低下することによる急激な景気の落ち込み」を避けることにあるからです。
ポイント還元は政府の補助金から行うので、恒久対策にしたら消費税を上げた意味がなくなってしまいます。ですから消費者はその9ヶ月の間にそのメリットを受ける必要があります。
どんな決済手段が対象か?
キャッシュレスの支払い手段としては次のものが挙げられています。
・クレジットカード
・デビットカード
・電子マネー・プリペイドカード
・スマートフォン決済・QRコード決済
ただし、上記であればどのカードでもいいわけではありせん。手数料要件を政府が細かく決めた関係もあり、クレジットカードでもポイント還元の対象になるカードが限られています。
現在(2019年9月14日)、対象となるものは、クレジットカードでいうと三菱UFJニコス、三井住友カード、JCB、楽天カード、セゾンカード、オリコカード等となっており、まだ増えるようです。自分の持っているクレジットカードやその他の決済手段が対象となっているかを確認したうえで、買い物をする必要があります。
また対象店舗の多くが中小であることを考えると、お目当ての店ですべての決済手段が使えることはなさそうです。
どんな店舗が対象か?
キャッシュレス・消費者還元事業は、消費増税におり景気落ち込みから中小企業を守るという目的もあります。ですから、国からの補助金対象の店舗は次の通りとなります。
注)大手スーパー、百貨店等、中小・小規模事業者に該当しないものは対象外。住宅、自動車の減税等別の補助を受けるものも対象外。
ポイントは中小の固定店舗だけでなく、EC/通信販売も対象となることです。具体的には楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon等への出品者で、中小・小規模事業者に該当するものが対象となります。
キャッシュレス消費者還元事業を消費者の観点からみると次の通りになります
(1)対象となる固定店舗は中小なので価格自体、競争力がないこと、限定された範囲の買い物しかできないので、この制度を使って生活用品の全てを安くそろえることは難しい。また大手ドラッグストアや家電量販店と比べると価格メリットはあまり感じられない。
(2)EC/通信販売も対象になるので、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon等を使って、価格競争力のある製品をさらに3%(消費税アップ2%-消費者還元最大5%)安く購入することは可能。消費税増税から9ヶ月間はキャッシュレス決済でポイント還元を受ける価値がある。
[参考・出典・引用]
政府広報「キャッシュレス決済に対するポイント還元制度のこと」
経済産業省「キャッシュレス・ポイント還元事業」
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー