更新日: 2019.08.31 その他税金

自宅を売却した時に受け取れる5つの特例

自宅を売却した時に受け取れる5つの特例
不動産を売却して利益(譲渡益)があったときには、その譲渡益に対して譲渡所得税がかかります。
 
税率は不動産の所有期間により異なります。売却した年の1月1日時点において所有期間が5年以下の場合を短期譲渡、5年を超えている場合を長期譲渡といい、短期譲渡の税率は39.63%、長期譲渡の税率は20.315%となっており、高額の税金を納めるケースもあります。
 
ところが、売却した不動産が自宅の場合にはさまざまな特例があり、譲渡益が出たとしても税金は低く抑えられます。反対に損失が出た場合も、損失の一部を取り戻せる場合があります。
 
自宅の売却に特例が設けられている理由には、売却時の税金の負担を抑えることにより、ライフステージごとの住み替えの促進を図るという政策上の観点、住宅流通を活発にすることが経済の活性化につながるということ、などが挙げられます。
 
そこで今回は自宅を売却する前に知っておきたい知識として、自宅の売却時の税金の特例について解説をします。
 
橋本秋人

執筆者:橋本秋人(はしもと あきと)

FP、不動産コンサルタント

早稲田大学商学部卒業後、大手住宅メーカーに入社。30年以上顧客の相続対策や不動産活用を担当。
 
現在はFP、不動産コンサルタントとして相談、実行支援、講師、執筆等を行っている。平成30年度日本FP協会広報センタースタッフ、メダリストクラブFP技能士受験講座講師、NPO法人ら・し・さ理事、埼玉県定期借地借家権推進機構理事

自宅を売却したときに受けられる5つの特例

居住用財産の譲渡の特例には、自宅を売却して利益が出た場合に3つ、損をした場合に2つ、合わせて以下の5つの特例があります。
 
利益(譲渡益)が出た場合
(1)居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除
(2)居住用財産の長期譲渡所得の特例(軽減税率の特例)
(3)特定の居住用財産の買い換えの特例
 
損失(譲渡損)が出た場合
(4)居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除
(5)特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除
 
これから5つの特例について解説します。
 

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(1)居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除

自宅を売却した場合には、利益から最高3000万円を控除することができます。つまり、利益が3000万円以下の場合には税金がかかりません。この特例は、他の4つの特例と異なり、居住期間の制限がないため、例えば、1ヶ月しか住んでいなくても受けることができます。
 
また、自宅を夫婦で共有している場合は、夫婦それぞれ最高3000万円の特別控除を適用できます。
 

(2)居住用財産の長期譲渡所得の特例(軽減税率の特例)

売却した年の1月1日時点での所有期間が10年を超える自宅を売却した場合、利益が6000万円までの部分については14.21%の軽減税率が適用されます。
 
なお、この特例は(1)の3000万円特別控除と併用することもできるので、利益が3000万円以上出る場合には相乗効果が期待できます。
 

(3)特定の居住用財産の買い換えの特例

売却した年の1月1日時点での所有期間が10年超、かつ居住期間が10年以上の自宅を1億円以下で売却し、新たな自宅に買い換えをした場合に適用できる特例です。この特例は2つのケースにより計算方法が異なります。
 
売却した自宅の価額が、買い換えをした自宅の価額よりも小さいか同じ場合は、売却がなかったものとされるので、売却によって利益が出ても税金はかかりません。
 
反対に、売却した自宅の価額が、買い換えをした自宅よりも大きい場合には、その差額分だけ収入があったものとみなされ課税の対象となります。
 
なお、この買い換えの特例は、利益が非課税になるということではなく、あくまでも課税が繰り延べされるという意味です。買い換え時には税金はかかりませんが、将来買い換えをした自宅を売却するときには、繰り延べられた利益も加えて課税の対象になるため、注意が必要です。
 
また、この買い換えの特例を適用した場合、(1)、(2)の特例は使えなくなります。(1)~(3)の特例の共通要件として、配偶者・直系血族・生計を一にする親族へ譲渡する場合と、前年・前々年に適用を受けている場合は、この特例は使えません。
 

(4)居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除

1月1日時点で所有期間が5年を超える自宅を売却して損失が生じ、新たな自宅に買い換えをした場合には、損失を給与所得など他の所得と損益通算ができます。損益通算しきれない損失分は、翌年以降最長3年間にわたり繰越控除することができます。
 
この特例により、自宅を売却して損をしても、所得税や住民税で一定の金額を取り戻すことが可能です。なお、この特例は住宅ローン控除との併用も可能です。
 

(5)特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除

所有期間が(4)と同じ自宅に住宅ローンが残っている場合は、買い換えをしなくても、売却で生じた損失を損益通算と繰越控除することができます。
 
この場合、損益通算と繰越控除の対象となる金額は、「譲渡損失」と「譲渡資産の住宅ローン-譲渡価額」の低い方の金額までとなります。(4)および(5)は、2019年12月31日までに譲渡したものに限ります。
 

まとめ

このように、自宅の売却には、手厚い優遇が用意されています。これらの特例に、「空き家の譲渡にかかる3000万円の特別控除」を加えて6つの特例ということもあります。
 
※この特例については別の記事で触れていますのでそちらをお読みください。
 
それぞれの特例を理解して、事前にどの特例が使えるか、また、どの特例を使うと最も得が大きいのかを知っておきましょう。
 
参考
国税庁タックスアンサー「マイホームを売ったときの特例」
国税庁タックスアンサー「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」
国税庁タックスアンサー「特定のマイホームを買い換えた時の特例
国税庁タックスアンサー「売った金額より少ない金額でマイホームを買換えたとき
国税庁タックスアンサー「住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき」
国税庁タックスアンサー「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の対象となる「譲渡資産」及び「特定譲渡」とは
国税庁タックスアンサー「被相続人の居住用資産(空き家)を売ったときの特例」
 
執筆者:橋本秋人
FP、不動産コンサルタント


 

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