更新日: 2019.08.21 控除

給与明細から読み解く社会保険。あなたは正確に説明できますか?

執筆者 : 浦上登

給与明細から読み解く社会保険。あなたは正確に説明できますか?
入社して間もない新入社員の方、そしてこれから社会人となる学生の方々、すでに入社してバリバリ働いている方すべてのために、給与明細から社会保険について説明してみたいと思います。今回は給与明細を通じて「社会保険」を考えてみます。
 
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。
 
早稲田大学卒業後、大手メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超える。その後、保険代理店に勤め、ファイナンシャル・プランナーの資格を取得。
 
現在、サマーアロー・コンサルティングの代表、駒沢女子大学特別招聘講師。CFP資格認定者。証券外務員第一種。FPとして種々の相談業務を行うとともに、いくつかのセミナー、講演を行う。
 
趣味は、映画鑑賞、サッカー、旅行。映画鑑賞のジャンルは何でもありで、最近はアクションもの、推理ものに熱中している。

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給与明細表の構成

給与明細は次のような構成になっています。
1.勤怠
2.給与
 支給額
 控除額(引去額)
 精算・給付金
 
このうち、社会保険料は控除額として、税金とともに給与明細に記載されています。以下の「2020年4月分 新入社員給与サンプル」を参照ください。
 

※添付の給与明細のサンプルは2020年4月の新入社員ものです。この給与明細からは住民税が差し引かれていません。
 

社会保険とは?

社会保険とは、会社員ら雇用労働者や自営業者の方々の生活の安定のために国が制度化している保険制度です。具体的には次の5種類の保険があります。厚生年金保険、健康保険、介護保険、雇用保険、労働者災害補償保険。それぞれどのような保険か説明します。
 
(1) 厚生年金保険
厚生年金保険とは、会社員など日本の被用者が加入する公的年金で、それに基づき退職後の被保険者の生活のサポートとして、老齢基礎年金、老齢厚生年金等が支給されます。
 
保険料は被用者の給与収入に基づく標準報酬月額に応じて計算され、会社と従業員が折半します。ですから、被保険者の給与明細の保険料と同額の保険料を会社も負担しています。
 
(2) 健康保険
健康保険とは、業務上以外の事由によって生じた病気やケガなどの医療費の補填、出産手当金や出産育児一時金、傷病による休業など各種補助を行うための制度です。
 
保険料は被用者の給与収入に基づく標準報酬月額によって決まり、協会けんぽまたは健康保険組合と従業員の両者で負担します。協会けんぽまたは健康保険組合の比率は50~60%程度。残りが従業員負担となります。
 
(3) 介護保険
介護保険は、介護が必要となったときに支給される各種介護サービスの費用を補填するための制度です。40歳になって初めて被保険者となり、保険料支払いが始まります。保険料は協会けんぽまたは健康保険組合と従業員で折半されます。
 
(4) 雇用保険
雇用保険とは、労働者が失業した場合などに必要な給付を行ったり、再就職のための支援を行ったりすることを目的とした制度です。保険料は会社と従業員の両者で分担し、分担比率は概ね会社2に対し従業員1となります。
 
(5)労働災害補償保険
仕事中や通勤途中の事故でケガをしたり、業務が原因で病気になったりした場合に、労働者や遺族に補償を行う制度です。保険料は企業が100%負担するので従業員負担はありません。
 

社会保険への加入は義務づけられている

社会保険は従業員にとっても会社にとっても強制保険で、両者ともこれらの保険に加入し、保険料を分担することが義務づけられています。上記5種類の社会保険のうち、従業員が保険料を負担しなければいけない保険は、厚生年金保険、健康保険、介護保険、雇用保険の4種類です。
 
会社はそれらに労働災害補償保険を加えたすべての保険料を負担します。
 
社会保険によって、会社員等の被用者やその家族が病気やケガをしたり失業や退職をしたりした場合に補助を受けることができ、個人の生活が守られるだけでなく、従業員の生活が安定することで間接的に会社も守られることになるのです。
 
そして会社と従業員は保護される代償として費用負担をしなければならず、この点に関しては税金と同じ性格を持っています。
 

まとめ 

社会保険の内容を調べてみるとかなり広く保障されていることが分かります。
 
社会保険以外にも民間の保険会社が、医療保険、個人年金保険、就労不能保険等、上記の社会保険と同様の機能を持った保険を販売しています。それらの保険への加入は任意ですが、民間保険はあくまで社会保険の補完的なものとしてとらえる必要があります。
 
すなわちまずは社会保険による保障内容とどこが重複するかをきちんと理解し、その上で必要であれば民間保険にも入るべきだということです。
 
また社会保険は会社が保険料を分担してくれるので、従業員から見たら費用対効果の点で、社会保険の方が民間保険よりも有利という点も忘れてはいけません。
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー


 

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