更新日: 2019.07.31 控除

iDeCoと住宅ローン控除で税金軽減したいけど、併用したら損するって本当?

iDeCoと住宅ローン控除で税金軽減したいけど、併用したら損するって本当?
iDeCoも住宅ローン控除も所得税と住民税を軽減できる優れた制度ですが、併用によるデメリットが心配されることもあります。その理由は、税金が軽減される方法が異なるためです。それぞれの仕組みを確認し、2つの制度の併用が損になるのか見ていきましょう。
 
※税制は2019年7月現在
 
國村功志

執筆者:國村功志(くにむら こうじ)

CFP(R)、証券外務員一種

大手証券会社で株式・債券・投資信託などの金融商品営業に携った後、ファイナンシャルプランナーの養成団体やFP事務所を経験。現在は資産形成専門FPとしてセミナーや個別相談のほか、マネー系記事の執筆も行う。個人でも投資信託やFXでの資産運用を行い、実践に即したわかりやすいアドバイスを心がけている。

iDeCoと住宅ローン控除は所得税と住民税を軽減する

iDeCoは個人で加入する私的年金制度です。掛金が全額所得控除でき、納めた掛金とその人の適用される税率に応じて、所得税と住民税が軽減される特徴があります。
 
例えば、所得税10%・住民税10%の人が年間27万6000円の掛金を納めたとしたら、掛金額の20%分である5万5200円が軽減されるのです。
 
一方、住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んでマイホームを購入した時に、年末の住宅ローン残高の1%分の金額を所得税と住民税から差し引ける制度です(物件および所得に関して一定の要件を満たしている必要あり)。
 
控除できる金額は最高40万円で、最長10年間まで毎年税金から控除できます。認定長期優良住宅等の場合は、最大50万円が上限額となります。住宅ローン控除で税金を軽減できる最高金額は年間40万円ですが、すべて差し引けるとは限りません。
 
住宅ローン控除は先に所得税から引かれ、1年間で支払った所得税額までが控除上限です。住宅ローン控除額が余っていれば、平成26年4月から令和3年12月末に入居の場合、住民税からも13万6500円(課税総所得の7%)を上限に差し引くことができます。
 
どちらも税金が優遇される制度ですが、2つを併用すると住宅ローン控除の金額が減って損になるのではないかと言われることがあります。
 

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iDeCoの加入で住宅ローン控除の金額が減るとはどういうことか

住宅ローン控除の金額が減る理由は、2つの制度の仕組みに違いがあるからです。
 
税額が決定されるまでには、いくつかの計算過程があります。iDeCoの掛金は税額計算のもとになる数字(課税所得)から差し引かれ、その人が支払うべき税金を少なくしてくれます。対して住宅ローン控除は、最終的に決まった税額から直接差し引く制度です。
 
つまり、計算途中で引かれて税金が軽減されるか、最終的な金額から引かれるかの違いです。
 
順番としてはiDeCoによる所得控除が先に適用され、住宅ローン控除は最後に引かれます。そのため、iDeCoによってその人の所得税と住民税が低くなれば、住宅ローン控除で差し引ける税金も少なくなります。
 
結果として住宅ローン控除を生かしきれず、損になるのではないかと言われることがあるのです。
 

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iDeCoと住宅ローン控除を併用しても損にはならない

2つの制度を併用することで、確かに住宅ローン控除で差し引ける金額は少なくなります。しかし、iDeCoによって本来支払うはずだった税金そのものが軽減されているため、損になることはありません。
 
住宅ローン控除が生かしきれず、もったいないと感じる人もいるかもしれませんが、あくまでも元々の税金が減って控除できる金額が少なくなっただけです。併用によって税金が高くなるわけではありませんので、心配する必要はありません。
 
どうしてももったいないと感じる人は、住宅ローン控除をフル活用できる範囲内でiDeCoの掛金額を調整する方法もあります。ですが、早いうちからiDeCoに加入しておくほうが将来に向けた資産形成もできるため、両制度を併用したほうがメリットは高いでしょう。
 
出典
iDeCo公式サイト
国税庁 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
東京都主税局 8 個人住民税の税額控除
 
執筆者:國村功志
CFP(R)、証券外務員一種
 

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